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Channel: 宮部 龍彦 - 示現舎
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部落探訪(18)岐阜県養老郡養老町三神町

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岐阜県の部落と言えば、圧倒的に養老ようろうが有名である。具体的には、養老町三神町みかみまちのことで、ここは食肉でも有名だ。

昭和初期には251世帯だった部落が、1975年には645世帯にまでになったとされる。

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まず目についたのがこの豪邸である。この部落にはこのような豪邸がいくつもある。これらは食肉業者の家だという。

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訪れた時は快晴で、養老山地がよく見えた。

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こちらは、飛騨牛で有名な「丸明まるあき」の直売所。丸明と言えば2008年に、格下の牛肉を最上級と偽って販売していたことが発覚し、社長が不正競争防止法違反に問われて有罪となった。

しかし、こちらの直売所は平日の昼間という中途半端な時間帯にも関わらず賑わっていた。卸売業者の直売所だけあって、スーパーよりも3~5割も安く買える。最上級の飛騨牛肉はもちろん、豚肉、鶏肉、牛・豚・鶏ホルモン、コロッケやソーセージもあり、肉なら何でも揃っているという感じだ。

筆者もお土産にブロック肉の煮豚を買った。岐阜らしく、赤味噌で煮込んである。細かく刻んでポテトサラダに練り込んで美味しく頂いた。

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豪邸のない場所は普通の田舎のたたずまいである。空き地・廃墟が目立つということもない。

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茂みに猫がいた。

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しかし、やはりあったのがニコイチの改良住宅群である。

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このニコイチ群はかなりの規模だ。

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田舎にはよくある、一見さんは入れないであろうお店もある。

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そう思ったら、立派な屋敷もある。

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町内にはいくつか掲示板があったが、「部落解放」「同和」「人権」にかかわるような掲示物は一切見られなかった。

地元の住民に聞いたところ、解放同盟の支部はあるが、この部落はよそから来た人も多く、解放同盟には一部の人だけしか入っていないという。解放同盟の活動については知らないが、隣保館に間借りしているのではないかということだった。

解放同盟大垣支部長による殺人未遂事件についてそれとなく聞いてみた。その事はあまり知らないが、部落問題を利用して悪いことをする連中がいるので、自分らも同じように見られて大変困っていると打ち明けた。解放同盟についてもいろいろよくない噂は聞いてはいるが、確証がないので言えないと言葉を濁した。

よくない噂については、鋭意取材中なので、ご期待いただきたい。

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こちらは神明神社。見ての通り、非常に立派な神社だ。

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犬のブリーダーと思われる建物があったが、こちらは空き家になっているようだった。

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こちらは隣保館。確かに人権に関わる掲示物はあるが、あまり解放同盟色はなく、さきほどの「解放同盟が間借りしている」という証言は事実ではないようだった。

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しかし、本棚には部落問題についての本がずらり。隣保館の本棚には、非常にためになる資料が置かれていることが多い。特に興味を惹いたのは「北原きたはら泰作たいさく部落問題著作集」であるが、実はこの本はここだけではなく、岐阜県内の隣保館にはよく置かれている。

北原泰作は岐阜県出身の部落解放運動家であり、解放同盟を代表して同和対策審議会に入り、同和対策審議会答申の作成にも関わった大物である。しかし、ハチャメチャな人物で、戦前に軍隊に入った時はことあるごとに上官に逆らったが、水平社がバックにいる北原に対しては上官も腫れ物扱いだった。挙げ句の果て、天皇に軍隊内での部落差別を直訴して、不敬罪で逮捕された。

戦後は解放同盟に加わったが、解放同盟が同和事業に深く関わるようになると、解放同盟を猛烈に批判するようになった。地元の方によれば「同和事業で金を貰ったのなら、もう文句は言うな」と、そういう感じの人だったという。

北原泰作の故郷は岐阜市の黒野部落である。こちらもいずれ探訪してみようと思う。


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