昨年の12月、福岡県の市町村に「部落解放同盟福岡県連合会 委員長 組坂繁之」の名前で、とある文書が出回りました。
弊舎の「部落問題入門」を「えせ同和行為」と断じ、注意を呼びかける内容です。
なぜ、組坂繁之委員長がここまで「部落問題入門」を警戒するのか。それは部落解放同盟が部落問題解消のための明確な筋道を理論的に示せない一方、「部落問題入門」が明快にそれを述べているからでありましょう。
無論、「部落問題入門」は「えせ同和行為」などではありません。えせ同和の売る本というものは、高くて分厚いだけで内容が軽いものが多いですが、それに対して本書は良心的価格で、簡潔明快、実用的な内容に終始しております。
行政関係者からも本書への賛辞の声が寄せられております。
全国部落解放協議会 御中
このたびは部落問題入門のご出版、誠におめでとうございます。
本書の作成に携わった全ての方々へ敬意を表します。
さて、本書の内容についてですが、一言でいうと知らないことばかりでした。その中でも第4章の『同和対策事業』が最も参考になりました。我々(行政職の)隣保館職員というものは自分の働く地域の状況ぐらいしか知りません。(略)しかし本書には多くの地域で実施された事業や事件等が具体的に触れられており、大変参考になるものでした。
また、また第2章の『部落の歴史』の中の起源説も参考になりました。私も起源には様々なものがあるということは知っていましたが、これほどまでの多くの起源があるとは知りませんでした。これを機会にして部落の起源についても少し調べてみたくなりました。
あと、嬉しかったのは地対協意見具申に書かれた部落差別の新しい4つの原因について触れていただいたことです。運動団体などはことあるごとに同和対策審議会答申については触れるのですが、それ以後に出された意見具申等については殆ど語ることがありません。本書にも書かれているように今よりも以前のほうが同和問題について開かれた議論をしていたように思います。これに書かれていることを実施することの方が、部落差別解消法を制定するよりも簡単に部落差別をなくせるのではないでしょうか。
(略)。
最後にですが、本書が部落差別の解消への一助となることを祈念しまして、あいさつに代えさせていただきたいと思います。「人の世に熱あれ 人間に光あれ」
とある隣保館職員より
まもなく、アマゾンで内容のプレビューもできるようになります。
本書の目次は次のとおりです。
第1章 部落問題とは何か
「部落」とは何か
「部落民」とは何か
どのような場面で部落問題に直面するか
差別の実態とは
部落はどのようなところか
部落問題にまつわる言説
「同和タブー」とは
第2章 部落の歴史
部落・部落民の起源
奈良時代の賎民
平安以降の賎民
江戸時代の賎民
賎民の職業
賎民と神道
部落と白山信仰
部落と宿神信仰
賎民と仏教
差別の理論 旃陀羅と業
差別戒名
賎民と宗派
部落政治起源説
明治維新と解放令
第3章 部落解放運動
部落解放運動団体の系譜
融和運動
全国水平社
部落解放同盟とは
全日本同和会・自由同和会とは
全国地域人権運動総連合とは
その他の部落解放運動団体
オールロマンス事件と行政闘争
「朝田理論」とは
部落解放同盟 VS 日本共産党
八鹿高校事件
部落地名総鑑事件の衝撃
狭山闘争と狭山同盟休校
「差別糾弾」とは
「言葉狩り」と表現規制
「えせ同和」とは
在日と部落と被差別統一戦線
第4章 同和対策事業
融和事業
同和対策審議会答申と同和対策事業特別措置法
莫大な予算がつぎ込まれた同和対策事業
同和地区はどのように指定されたのか
隣保館と教育集会所
なぜ同和地区にはニコイチが多いのか
同和教育と解放教育
個人給付的事業
窓口一本化
同和事業にからむ不祥事
地域改善対策協議会意見具申
未指定地区
同和行政に関係する組織
同和事業の終了
今も残る同和事業
第5章 部落差別解消の推進
どうやって部落差別を解消するのか
今なお残る「部落差別」とは
「結婚差別」とは
部落差別の原因とは
誰が問題の当事者なのか
行政の主体性の回復と部落の自立
えせ同和の排除
部落研究の自由の必要性
部落差別が解消された状態とは