2017年2月10日に滋賀県米原市で部落解放研究集会があり、有田芳生が来る。そのような情報を耳にした。また、分科会では本誌のことがテーマになるという。無論、これは行かない手はないだろう。
ところが、会場となる滋賀県立文化産業交流会館(文産会館)のウェブサイトのイベントスケジュールには掲載されていない。筆者が調べた限りでは、ネット上には開催案内は見つからなかった。しかし、滋賀県内の役所や同企連企業等にチラシが配布されていたというので、イベントが開催されることは間違いない。
当日はあいにくの雪模様であったが、文産会館に来ると、受付の看板が出ていた。一般参加も出来るということで、一安心である。
会場は自治体や企業の関係者で賑わっており、物販コーナーも出ていた。滋賀の部落のイベントらしく、「さいぼし」が売られている。
なぜか「コリアン袋」なる物が。
見ると、京都の朝鮮学校のようで、売られていたのは朝鮮料理の惣菜だった。
なぜか靴や靴下といったものも。
もちろん、商売だけではなく、このようなパネルもあった。
この類のイベントは無料ではない。「資料代」ということで、いくらかの出費が発生する。今回は1人3000円であった。アイドルのコンサートよりは安いが、映画よりは高いといったところである。
配られた資料を見て驚いた。大会の討議資料に加えて、部落解放同盟滋賀県連が毎年作成している冊子を2冊渡されたのだが表紙からしてこれである。まさに、今年は全国部落調査イヤーといった感じだ。
「部落差別は今」という冊子は「全国のあいつぐ差別事件」の滋賀県版みたいなものである。中身は解放新聞の切り抜きがほとんどだ。ご覧の通り160ページのうち48ページまでが全国部落調査の話題である。
「同和と在日」の写真も掲載されている。ここまでくると、もはや示現舎の宣伝に近いのでは? という感じがする。
しかし、なんと本誌が1月31日に発売した「部落問題入門」が「新たな全国部落調査」として紹介している。無論、これは全国部落調査とはまた別のもので、タイトル通り部落問題の入門書である。
ちなみに、キンドルで電子版も発売したので、事情により電子版で楽しみたい方は、ぜひご利用いただきたい。
さて、早速会場に入って、有田芳生氏による記念講演を期待していたのだが、ここで主催者から残念なお知らせがあった。有田芳生氏は議員活動が多忙のため、来られなくなったというのである。そこで、代わって演台に立ったのが、ヘイトスピーチ問題に取り組むジャーナリストとして知られる安田浩一氏である。
しかし、内容は主に在特会と在日コリアンの話で、部落の話は全く出なかった。
部落の話題を避けた安田氏の判断は賢明だろう。「士農工商えた非人」で糾弾されたサイゾーの事例の通り、「部落万歳」としていたつもりでも、思いがけないところで言葉尻をとらえられて糾弾されてしまいかねない。また、あまり「解放同盟万歳」をやってしまうと、解放同盟の対立勢力の共産党から抗議されてしまうこともある。
解放同盟は明らかに「反ヘイトスピーチ」との連携を目指しているが、当の反ヘイトスピーチ陣営にとっては同和との連携はおっかなびっくりといったところだろう。