鳥取のような地方にも「都市部落」がある。それが、今回訪れた田島・西品治地区である。この地区は、おそらく鳥取県下最大の部落であると考えられる。
農村部の部落は人の移動が少ないことが多いが、都市部となると頻繁に人の入れ替わりがある。田島・西品治については地名の変遷もあり、同和地区指定のされ方も複雑で、実態がよく分からない部分が多い。
田島は昔は「たのしま」と呼ばれた。今でも田島を「たのしま」と読む人もいるが、その読み方は差別的だという説もあれば、いや、むしろ「たのしま」が本来の読み方なので今の「たしま」という読み方が差別だという人もいる。このように、どちらに転んでも差別といちゃもんを付けられる現象は各地で見られる。
文献では、1795年の書かれた地誌、『因幡誌』に「高草郡田野嶋村」として出て来る。当時の「穢多村」の軒数は50軒で、既に旧因幡国では最多である。1897年の『山陰之教育第20号』では田島と西品治で合わせて140軒。1923年の『大谷派地方関係寺院及檀徒に関する調査』では田島23軒、西品治156軒。1935年の『全國部落調査』では田島26軒、西品治164軒となっている。そして、1997年の鳥取市役所職員研修資料『同和問題の解決のために』では西品治、田島、松並、元品治、八千代、千代という隣接した地域をまとめて361世帯とされる。
このように、かつては「田野嶋村」の穢多村であったが、それが周辺地域に広がっていったらしい。
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ここは、「鳥取市西人権福祉センター」で、かつての「富桑隣保館」である。ここを起点に探訪を開始する。
ところで、鳥取市の城下町の部落を探訪するために格好のスマートフォンアプリが存在する。それが「鳥取こちずぶらり」である。その名の通り鳥取市の古地図を表示するアプリで、1947年に米軍が撮影した航空写真も収められている。しかも、GPSによって現在地を地図上に表示するという優れものだ。鳥取を旅行するなら、ポケモンGOに加えて「鳥取こちずぶらり」を入れておくべきだろう。
もちろん、古地図に「穢多村」とは書かれていないが、1947年の航空写真では、明らかに田島・西品治の辺りに住宅密集地が存在するのが分かる。部落であるだけでなく都市スラムに近い状態だったことが伺える。
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しかし、現地を訪れると、部落であるということはあまり感じられない。区画整理がされた形跡はあるものの、ここでは大阪などで見られたような大規模な改良事業は行われなかった。
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これは「時錦登喜治塚」。時錦登喜治という力士の墓のようで、平成3年にこの地区の道路の拡張のために現在地に移転されたとのことである。
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細い路地も僅かではあるが残っている。
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地区を歩くと、大きな墓地が現れた。ここは西品治共同墓地である。
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共同墓地の背景には公営住宅が。ここが一番同和地区らしい風景かも知れない。
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ところどころ空き地があるがあまり多くはなく、廃墟もあまり見られない。
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ニコイチは少しだけあった。
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こちらは田島集会所。どこが西品治で、どこが田島か境界がはっきりしない。同和地区と一般地区の境界も分からないし、同和地区名として松並、元品治、八千代、千代という名前も出てくるので、単に西品治・田島の区域を出れば同和地区ではないということでもないようだ。「鳥取こちずぶらり」でかつての住宅密集地の範囲は分かるが、当時は田畑だった場所も現在は住宅地になっている。
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地元でも田島と西品治はまとめて1つの地域と認識されているようだ。
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貧乏そうな家が多いわけでもなく、不釣り合いな豪邸があるわけでもない。
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こちらは児童館。
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この空き地は、田舎の名家だったような佇まいがある。立派な庭と、井戸があったことが分かる。
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壁が黒くなった倉のようなものあるので、ひょっとすると鳥取大火の焼け残りかと思ったが、よく考えたらこの辺りは大火の被害はなかった。
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老人憩いの家と公園。
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ところどころにアパートがあり、住宅も売りに出されている。
地元の住民や不動産業者が土地を売りに出す時に、部落なのかと言われたら「住所は田島だけど同和地区の田島ではない」「西品治だけどここは違う」といった説明をするという話を聞いたことがある。しかし、鳥取市の場合は半ば属人的に同和対策を行っていたので、市役所でさえ明確な線引をしなかったと考えられ、どこが同和地区でどこが同和地区でないかは、それこそ水掛け論だろう。
たとえあからさまに隣保館の隣だろうと「ここは西品治だけど同和地区ではない!」と言い張って土地を売り、それが他人に渡れば、「いや、やっぱりそこは同和地区だ」と蒸し返す人もいないと考えられるので、そうやって虫に食われるように都市部落は解体されていくのだろう。