「全国部落調査」の発売禁止は、横浜地裁の仮処分により口火を切ったわけですが、これに対して保全異議を申し立てました。
保全異議というのは、裁判所の仮処分に対して、主に処分の取り消しを求めて意義を申し立てる手続きです。仮処分自体があくまで「仮」の処分なので、保全異議の手続きというのも本来は長々と行うようなものでもないのですが、出版禁止がらみだと慎重に行われるのが通例です。
債務者(示現舎側)が申立書を、それに対して債権者(解放同盟側)が答弁書を提出しました。それぞれの書面は以下の通りです。
保全異議申立書-H28-7-14.pdf
保全異議答弁書-H28-8-29.pdf
様々な主張がなされていますが、見どころとしては示現舎側が「被差別部落出身者という法律上の身分は存在しない」という趣旨の主張をしたのに対して、解放同盟側が「被差別部落出身者という法律上の身分が存在することは絶対に許されないと答えているところです。この点に関しては意見が一致しているわけです。
裁判官は、解放同盟に対して「業務を円滑に行う権利」と、過去の戸籍の不正請求事件について詳しく説明するように言いました。というのも、最初の仮処分の際に解放同盟側が同和地区Wiki等のウェブサイトに対する削除の申し立てを取り下げて、横浜地裁では本の出版禁止に関する仮処分だけが係属することになったにもかかわらず、解放同盟側の申立書の内容はウェブサイトと出版物のことがごっちゃになって分かりにくい状態になっていたからです。
さらに審尋が行われることになります。
次回の審尋期日は10月12日 13:10です。