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Channel: 宮部 龍彦 - 示現舎
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鳥取市版部落地名総鑑

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画像は鳥取市中央図書館の開架に置いてある「同和問題の解決のために(鳥取市職員同和研修資料)」という、鳥取市が作成した冊子の一部である。鳥取市民にとっては身に覚えがある地名であって、妙にリアルな世帯数が列挙されている。そのタイトル通り、鳥取市職員であれば必ず読むべき冊子であろう。

さて、6月の鳥取県議会では、以下のようなやり取りがあった。

◯椋田昇一議員 さて、実際、ヘイトスピーチ以外にもいろんなヘイト行為、差別的言動が発生しております。鳥取ループの常軌を逸した行為はその1つで、とどまるところを知りません。鳥取ループ・示現舎による全国部落調査部落地名総鑑の原典というタイトルの本の出版と、それをめぐる一連の事態を鳥取市行政は知っておられるのか、知っておられないのか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
 私もこのことは承知いたしております。
 以上でございます。

◯椋田昇一議員 では、その鳥取ループが、鳥取市を含む鳥取県内、そして全国の同和地区の所在地や地図をブログに掲載するなど、差別意識をあおり、差別行為を助長する行為をしていることを鳥取市行政は知っておられるのか、知っておられないのか、簡潔にお答えください。

◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
 この全国部落調査部落地名総鑑の原典、こういったものがネット上も閲覧できるような状況にある、このようなことを私も実際に確認して承知しております。
 以上でございます。

◯椋田昇一議員 では、市長、大ざっぱで結構ですが、いつごろ、そういう事態が起きているということを知られましたか。あるいは、それは市長個人だけじゃなくて、担当部局がありますから、鳥取市行政としていつごろから知っておられるのかということについてお尋ねいたします。

◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
 私も正確な日時は自分自身で十分把握しておりませんが、担当課等からこういった状況がありますと、報告メールという形で迅速に私のほうにいろんな状況について報告してもらうような仕組みになっておりますので、そういったことでも確認しておりますし、このたびも、御質問いただくということで、私も改めてインターネット等でどういう状況にあるのかということを私なりに確認したところでございます。
 以上でございます。

◯椋田昇一議員 私も大ざっぱでいいと申し上げましたから、何年ということでなくて結構ですが、例えば先ほど申し上げました「鳥取県の同和地区」というのは、今から7年ぐらい前からブログに掲載されていますから、担当部署はそのころから承知しておられたというふうに私も承知しております。
 そこで、続けますが、いわゆる鳥取ループがネットで流布している情報の中には、情報公開手続で鳥取市から入手したものも含まれています。そうした中で、平成24年、2012年の3月に鳥取市を被告として提起された同和地区に関する情報公開をめぐる裁判があります。これは最終的には最高裁まで行って、鳥取市が勝訴しております。同様の裁判は滋賀県との間でもあり、やはり滋賀県が勝訴しております。鳥取市が勝訴したこの裁判では何が争点であったのか。そして、裁判所の判決と、その判断の内容はどういうものであったのか、説明を求めたいと思います。

◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
 先ほど議員よりお話をいただきました裁判、本市が原告の求める公文書を不開示として決定したことを発端として、特定の地域に同和地区が存在することが明らかになる情報を開示することで、関係する個人の権利利益を害するかどうかが争われたものであります。平成25年3月に鳥取地方裁判所におきまして、本市が当該開示請求を拒否したことは適法であるといった判決が行われたところでございまして、原告はこれを不服として控訴したところであります。平成25年10月広島高等裁判所松江支部においても、本市の判断は合理的であり、開示請求を拒否した処分に不当な点はないとして、控訴を棄却されたところであります。この後、原告は最高裁判所に上告したわけでありますけれども、これが棄却されまして、平成26年8月に本市の勝訴が確定したといった状況であります。
 以上でございます。

◯椋田昇一議員 私の聞き漏らしがあったかもしれませんが、趣旨としては市長がおっしゃられたとおりでもちろん間違いございません。つまり、特定の地区の居住者及び出身者が差別にさらされるおそれがあると。だから、鳥取市が情報の公開を一部拒否したのは違法ではないんだと、こういうことでありました。
 これはとても大事なことですので、そこをしっかり踏まえて今後の議論をやっていきたいんですが、全国部落調査という、先ほど申し上げました、その本を出版しようとする行為にことし3月、横浜地方裁判所が出版差しとめの仮処分決定をいたしました。そうすると、翌月4月に鳥取ループ・示現舎は、本に掲載する予定であったデータを今度はウエブサイトに掲載しました。これについても、横浜地裁がそのデータの削除を命じる仮処分決定を出しました。
 そこで、市長にお尋ねしたいのですが、この仮処分決定の後に同和地区Wikiとか、あるいは「鳥取県の同和地区」と称するものなど、同和地区の地名や地図はウエブ上から削除あるいは閲覧できない状態になっているのか、いや、そうではないのか、現状についてどのように認識されているのか、お尋ねいたします。

◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
 まず、横浜地裁の差しとめ仮処分決定ということでありまして、この処分は全国部落調査部落地名総鑑の原典の出版・販売または頒布を禁止し、関連する著作物や資料を横浜地方裁判所で保管することを命ずるものであったと、このように聞いておるところでございます。このような書籍を販売すること自体が決して許されるものではありません。この決定は適切なものと私は考えております。
 また、データの削除を命ずる仮処分決定も行われたところでございまして、昨今はインターネットを悪用したといいますか、非常に匿名性を悪用した書き込みや流布が散見されるところでございまして、これは憂慮すべき状況にある、決して許されるべきではないというふうに考えておりまして、この決定も適切な決定であるというふうに考えております。
 また、インターネットのウエブサイトにこういったデータが掲載されているのかどうなのかということでありますが、この同和地区Wikiというサイトでありますが、私も詳しくはまだしっかり全部閲覧したわけではありませんが、こういった削除等が指示されたということでありまして、こういった部分については必要な削除は行われているのではないかというふうに考えておるところでございます。
 以上でございます。

◯椋田昇一議員 何事でもそうですが、現状をしっかり把握するということが大事なんですね。市長、紙ベースの本の差しとめの仮処分が出た。そうしたら、今度は紙ベースじゃなくてウエブ上にそのデータを載せた。それの削除決定が出た。ところが、そのブログそのものからは削除していますが、そこに示されたデータはほかにもいっぱい出ているんです。出しているんです。これはあるかないかという、とても大事なことなのでね。市長は私の言っていることを後で確認していただいたらわかることですから、信用していただいて、この後の議論を続けさせていただいていいでしょうか。あるという前提で議論になるのか、ないという前提で議論になるのかで全然変わってきますから、そのことだけ一言お願いしたいと思います。

◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
 私もずっとインターネットのウエブサイト等を全部追っていったというようなことには自信がありませんけれども、少なくともそういった確認をした範囲では削除されているのではないかというふうに考えておるところでございます。
 しかしながら、今、議員からも御指摘がありましたように、こういったインターネット上のいろんなウエブサイト等で瞬時に広がっていくというような状況もあり得るわけでありまして、また別のサイトでそういったものが閲覧し得るような状況にあるのかどうか、私も確認し切れておりませんので、そういったお答えをさせていただきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

◯椋田昇一議員 市長、あるんですよ。仮処分というのは、そのものに対しての効力はありますけれども、残念ながら、ほかの同じようなもの、あるいは、同じものであってもほかに出てくると権限がないので。ですから、今は部落解放同盟は4月に東京地裁に本提訴しているんです。ということなんです。ミラーサイトもあります。
 続けますが、鳥取市が裁判で主張したように、鳥取市内の同和地区の居住者や出身者が差別を受けるおそれがある、差別にさらされるおそれがある。これは鳥取市の主張でもあり、裁判所の判断内容でもあったわけですね。それが、市長、現在進行形でこの事態が推移しているんです。この鳥取ループの行為によって。市行政はそのことの事実や、とどまることを知らない深刻な実態の推移を、今お聞きしますと、十分には把握できていない、こう言わざるを得ません。それは市長自身がというよりも、やっぱり担当部局がしっかりとそこを把握して、市長に適宜的確な報告を上げていくということが、私はそこに問題の1つがあると思います。
 いずれにしましても、現状をちゃんと把握していなかったら、その問題に対処することができないですよね。今、何が起きているのか、まずは現状を把握して、その後も変化する状況を捉えていく。これがいろんな取り組みをしていく上での一番基礎、ベースになることじゃないか、そういうふうに思いますが、市長、その必要性についてどのようにお考えになりますでしょうか。

◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
 先ほども申し上げましたように、こういったインターネット等が急速に普及したということで、なかなか実際には全て把握し切れないような状況もあろうかなというふうに思いますが、鳥取市として、できる限りそういった状況をしっかりと把握していく必要があるというふうに考えておりますので、今後もそのようなことでしっかり状況を把握していくことに努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◯椋田昇一議員 先ほども申し上げましたように、今の点は本当に全ての出発点になる大事なことでので、市長から明確に御答弁いただきましたので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 ところで、市長、鳥取ループはその名に鳥取を冠しておりますが、鳥取県あるいは鳥取市とどのような関係があるのでしょうか。御存じの範囲内で御説明いただきたいと思います。

◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
 鳥取という名称を冠しているということでありますけれども、鳥取を名乗っておられるということでありますので、これは鳥取市としてはもはや他人事ではない、そういう認識をまず持つべきであるというふうに考えておるところでございます。
 以上でございます。

◯椋田昇一議員 市長としては非常に慎重な答弁でしたが、これは御本人がブログの中ではっきり言っておりますから。もちろんこの場で、きょう、私も名前は申し上げませんけれども、名前も含めて。先ほど鳥取市が裁判した相手でもあるわけですから。これ以上は言いませんが、しっかりそこを認識していただきたい。
 さて、どこが同和地区なのか、あるいはここは同和地区なのですかというような問い合わせが全国で相次いで発生しております。鳥取県内でも、そして鳥取市内でも起きております。鳥取市役所にもありました。公民館にもありました。そのほかでも起きております。同和地区にかかわる情報をもてあそぶ鳥取ループの行為は、差別を助長し、または誘発する行為であり、同和地区の居住者及び出身者が差別にさらされる、まさにその現実を生み出しているわけであります。市長、鳥取市民が差別にさらされているんです。鳥取市長として当然見過ごすことはできないと思います。鳥取ループのこうした行為にどう対処していくのか、また、差別にさらされている鳥取市内の同和地区関係者に対してどう対応していくのか、答弁をお願いしたいと思います。

◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
 インターネットなどを使った、差別を助長するような行為が後を絶たないような状況がある、まずこの状況を認識しておるところでありまして、いずれも許すことのできない、あってはならない、そういった行為でありまして、強い憤りを私自身も感じておるところでございます。一刻も早くこういったことを解消していく、そのことがまず必要であるというふうに思っております。そのためには、一人一人が人権尊重の理念についての理解を深め、差別を初めとするさまざまな人権問題に対して、他人事ではなく自分自身の問題として認識して取り組んでいく、そういった感覚を養成していく、そのことが今後もますます必要になってくるのではないかと、このように思っておるところでございます。あらゆる機会等を通じて、研修会等を通じてそのことにしっかりと取り組んでいかないといけないということを改めて感じておるところでございます。
 また、これは鳥取市だけではなかなか限界もあろうかなというふうに思っておりまして、関係機関等々とも連携しながら具体的な取り組みをしていかないといけないというふうに思っておりますし、また、国等に対しましても、必要な要請等、そういった活動も今後していかなければならないのではないかなというふうに思っております。
 今後もさまざまな活動、取り組みを通じまして、人権が尊重される、そういった社会の実現を目指してしっかり頑張ってまいりたいと、このように思っております。
 以上でございます。

◯椋田昇一議員 これだけ鳥取市の情報が出され、それによって差別を受ける危険な状況にさらされているという中においてどうしていくのか。今の答弁は残念ながら非常に抽象的だったと思いますが、しかし、そのベースとなる認識については市長と共通理解できたと思いますし、市長の強い決意も示していただいたと思いますので、具体的にどうしていくのか、これはみんなが知恵を出し合い、また協力していくという側面も必要だと思いますので、しっかり今後取り組んでいただきたいですし、議論を重ねさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 今申し上げましたように、部落差別が現在もなお存在すること、部落差別は許されないものであり、これを解消することは重要な課題であること、この点については論をまちません。そこで、今申し上げたように、では、その部落差別を解消するにはどんな取り組みや施策が必要なのかを考えなければなりません。まずは、取り組むべき対象となる部落差別の実態を調査して、ちゃんと把握していく、ここが出発点だろうと。そういう意味で市長は、市長あるいは鳥取市の取り組みが、差別にさらされている市民に期待と希望を持ってもらえるような、そういう積極的な施策を進めていただくようお願いして、この件については終わり、次の教科書制度について質問を移したいというふうに思います。

この議論に決定的に欠けているのは、やはり前述の「同和問題の解決のために(鳥取市職員同和研修資料)」との兼ね合いをどう考えるかということである。なお、鳥取市は以下の文書も作成してインターネットで公開した。

kisoku1

kisoku2

椋田昇一議員は「同和地区にかかわる情報をもてあそぶ鳥取ループの行為は、差別を助長し、または誘発する行為」と言うが、過去に鳥取市が(市民や市議会、部落解放同盟等の団体と一緒に)行ってきた同和地区の特定・公開との違いを説明していない。むしろ、未だに「同和地区の住民だと差別の対象となる」といった風評を拡散し続ける行為こそ悪質なはずである。

また「部落差別を解消するにはどんな取り組みや施策が必要なのかを考えなければなりません」と言うが、何も具体的な解決策は示されていない。

まずは、「こんな物で騒ぐのはくだらない」ということに気づくことが解決の一歩ではなかろうか。

douwa


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