全國部落調査の出版差止の裁判が、本訴訟3件が東京地裁に併合されて係属しており、さらに横浜地裁に2件の仮処分、横浜地裁相模原支部に4件の仮処分が係属しています。
仮処分は、もともと本の出版禁止の1件が横浜地裁に、ウェブの情報削除の1件が地裁相模原支部に係属、さらに財産の差し押さえの4件が地裁相模原支部に係属していましたが、出版禁止とウェブの情報削除については示現舎側が保全異議を申し立てて、ウェブの情報削除の仮処分が横浜地裁に移送された状態になっています。
10月12日に、これらのうち出版禁止の仮処分に対する保全異議審尋が横浜地裁で行われました。双方が提出した書面は次のとおりです。ここで「債務者」が示現舎側で、「債権者」が解放同盟側です。
示現舎側の主張は東京地裁で行っているのと同様のもので、主な主張は大阪市人権協会の「50年のあゆみ」や解放同盟長野県連の「差別とのたたかい」のように同和地区名・部落名を列挙した書籍の出版は過去に何度も繰り返されていること、解放同盟大阪府連住吉支部の住田一郎氏や、部落史研究者の塩見鮮一郎氏のように、部落の場所を公表すべきという主張は運動体内部や研究者にもあるということです。
一方、解放同盟側は全國部落調査の出版は解放同盟の「業務」を妨害するものだという主張をしています。これは、横浜地裁の裁判官が、仮処分の申し立ての際から解放同盟が主張している「業務」とな何なのか説明を求めたためです。
今回の審尋では、裁判官が審理の終結を提案しましたが、解放同盟側がさらなる主張をしたいことを申し出て、もう1度審尋が行われることになりました。
次回の審尋は11月30日15時からです。
また、地裁相模原支部から横浜地裁に移送されたウェブの情報削除についての保全異議の審尋がそれに先立って11月14日14時に行われることになりました。
両事件とも、裁判官3人による合議体で審理されています。
理屈の上では示現舎側はさらに4件保全異議を申し立てることができます。