読者の方から、「人間みな兄弟 部落差別の記録」(後編)に出てきた場所の1つが特定できたとのメールを頂いた。そこで、今回の部落探訪は読者投稿編である。
この、市営住宅が写っているシーンだが、映画ではどの場所か触れられていなかった。
そこで、読者の方が場所の特定を試みたところ、意外な場所であることが分かったという。それが天神橋筋六丁目駅(天六)に東側にある長柄である。
映画に出てきた場所の現在の写真とされるのがここだ。この場所は住所で言えば国分寺になるのだが、奥にある公営住宅は長柄中1丁目にある。
この場所である根拠は、大阪府内で1960年以前に、公営の4~5階層の鉄筋コンクリート住宅が建てられていた場所を過去の資料や地図で探し、1つ1つ検証したところ、映画と同じ構図の写真が撮影できる場所はここしかないという結論に至ったという。現在の建物の形は違うが、過去の航空写真から建て替えられたことが確認できるという。
他の読者の方々におかれても、ぜひ検証いただきたい。
映画にはもう1つ場所が未確定な、上記のシーンがあるが、残念ながらこちらは分からなかった。
長柄は部落というより、スラムとして知られていた土地である。1969年に始まった同和対策事業の対象地区とはされず、1963年の「大阪市同和事業促進協議会10年の歩み」にも掲載されていない。ただ、1935年の全國部落調査には掲載がある。
市営住宅が建てられたことを除いては、同和事業や大規模な開発が行われた形跡はなく、大阪の昔ながらの住宅地の町並みである。ところどころに細い路地があることから、スラムであった頃の面影を見ることができる。