奈良県最大の部落は生駒郡三郷町にある。ここは奈良県都大阪府の境界にあり、最寄り駅のJR関西本線三郷駅から大阪の天王寺駅まで40~50分であり、大阪への通勤圏内だ。
立地もどちらかと言えば良好で。周囲の住宅は山の急斜面にある一方、部落は低地にあるのだから、立地は部落のほうがむしろいい。
しかし、隣保館からしていきなりこれである。これでも、れっきとした三郷町の行政施設だ。
これほどあからさまに「同和地区」であると主張する施設があるにも関わらず、空き地や廃墟は少なく。あまり避けられているような雰囲気はない。
これは、大阪のベッドダウンとして良好な立地であることが影響しているだろう。また、案内人によれば、ここは明らかに商人の部落であり、あからさまに同和地区と主張するような隣保館があるのは、あけっぴろげな商人気質が影響しているのではないかということだ。
しかし、不思議な物件もある。部落内には壁が薄汚れた公営住宅がある。公営住宅には物置だけの棟が付属している、窓から箱が山積みされているのが見える。
駐車場にはセルシオ、アルファード等が停まっている。高級車が停まっているのは、この住宅の家賃が非常に安く、車に金をかけられるということを示唆している。
ここにも、部落ということをあからさまに主張するような立て看板がある。
ポルシェが一台あったが、これは公営住宅ではなく持ち家である。
部落内には最近壁が塗り直されたと思われる、きれいな公営住宅がある。その駐車場を見ると、置かれているのは軽自動車だ。さきほどの住宅のような高級車は見られない。
部落内には古くからの持ち家と思われる家が多く、そのたたずまいは確かに商人の町の趣がある。
一方で、「改良住宅店舗」もある。要は公営の貸店舗である。社会主義国の商店のような無機質な外観は好みの別れるところである。
これは部落の公衆浴場「もみじ湯」。12歳以上は220円、12歳未満は80円と非常に安い。部落の浴場をめぐるマニアもいるようである。
部落はまさに「ベッドタウン」といったたたずまいなのだが、コンドームの自販機があるのは、田舎っぽいところである。