以前お伝えしたとおり、全国部落調査の出版禁止の件が係属していた東京高裁第9民事部は、早々と審尋を打ち切っていましたが、16日付けで決定が出されました。決定の内容はこちらです。
結論は示現舎側と解放同盟側双方の抗告を棄却で、横浜地裁の決定が維持されました。
その理由は、やはり組坂繁之らが「同和地区の出身」ということが前提になっています。決定にはこうあります。
本事件債務者は,基本事件個人債権者らが同和地区出身者であることの疎明がないと主張するようであるが,証拠(疎甲2~6)によれば,基本事件個人債権者らはいずれも同和地区の出身であることが一応認められるから,上記主張は理由がない。
ちなみに、疎甲2~6というのは本人の陳述書です。裁判所としては、本人が同和地区出身と言い張れば、一応同和地区出身を疎明したということになるようです。仮処分においては「証明」までは要求されず、確かにそれらしいということを示せばよいのですが、出版禁止の仮処分にしては、かなりいい加減に思います。
いずれにしても、あくまで裁判所としては当事者が「同和地区出身」ということが問題になるようなので、「同和地区出身者」から訴えられた場合は、関係者の身元調査をする必要がありそうです。
さて、仮処分は本裁判とは違って、高裁までで終わる「二審制」が原則となっているので、裁判所としては、「あとは本裁判で争え」ということになります。ただ、抗告許可の申し立てと特別抗告を行えば、例外的に最高裁で審査されることがあるので、一応はやってみようと思います。