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Channel: 宮部 龍彦 - 示現舎
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淡路5人殺害事件の現場を歩く

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昨年の3月9日、兵庫県の淡路島で、平野浩之さん一家8人のうち5人が殺害されるという凄惨な事件があった。

やったのは平野達彦。彼は以前からツイッターやフェイスブックで「電磁波犯罪」「集団ストーカー」といった発言を繰り返しており、明らかに統合失調症、妄想性障害の患者であった。

精神病者が関わる犯罪では、なぜか詳しい報道がぱたっと止んでしまう。御存知の通り未成年者の場合は少年法により、当事者を特定するような報道を控えることが明文化されているのだが、精神病者に関してはそのようなものはない。ただ、違うのは俗に「キチガイ無罪」と言われるように、精神病者であれば刑が軽減されたり、免除されたりすることだ。

個人を特定して報道するかどうかはあくまで「公共性」の問題であるというのが建前だが、実際のところは報道自体が「晒し者」にするための刑の一環として行われているようなところがあり、その結果、どれだけ詳しく報じるかは公共性というよりも罪の軽重に連動しているように思う。精神病者であれば罪が軽くなるので、それに連動して報道も控えるといったところだろう。

また、「精神病者と犯罪を結びつけるな」と非難することを恐れてということもあるだろう。

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さて、今年の1月某日、筆者は事件の現場である洲本市中川原町中川原にやってきた。ここがその平野達彦の家である。

筆者が歩いていると、なぜか兵庫県警のパトカーがやってきた。変な誤解をされても嫌なので、「例の事件」の取材に来た旨を告げると、「ああそうですか」といった反応であった。しょっちゅう記者が来ているので、警察もあまり気にしていない様子である。普段からパトロールしているので、今たまたま通りがかっただけだという。

家の周辺は片付けられており、人の気配がある。

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早速インターホンを押してみると、初老の女性が出てきた。事件について聞こうとすると、「取材はお断りします」とのことだった。

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こちらが事件の現場となった家だ。こちらも片付いているが、人の気配はなく、インターホンを押しても返事はなかった。

近隣の住民によれば、もう現場の家には誰も住んでおらず、生き残った家族は近くにも住んでいないという。ただ、「やった側」の家にはまだ家族が住んでいるということだ。そして、事件についての続報も、警察の取り調べの内容も、住民にはほとんど聞こえてこないという。事件について聞くと。

「新聞社のほうがよく知っているんじゃないかな。自分でも分からんようなことを知っている。」

平野達彦は中学まではおとなしくて「いい子」であったという。その後、しばらく島外に出ていたが、それから変わってしまったのではないかということだ。そして、事件に対しては怒りや恐れというより、ただ戸惑いの声が聞かれた。

「近所同士で仲が良かったのに、なんでこんなことになったのかね」

しかし、平野達彦が重度の精神病を患っていたのは間違いない。ひょっとすると無罪になってしまうのではと問うと。

「それはあり得るだろうね」

ということだ。

平野達彦の家のすぐ近くの家の住人はこう語る。

「テレビを見てたら、なんか外で騒いでて、巡査が来て、はやく戸を締めて鍵かけてと言っていて何事かと思った」

平野達彦について聞くと、やはりこんな答えが返ってきた。

「達彦くんはおとなしい子。(事件については)何の前触れもなかった」

現場となった地域は、淡路島らしい風景が広がっている。ところどころに溜池ががあり、あちこちに段々畑や棚田が広がっている。その間に家があり、集落というより散村という様相だ。また、どの家も大きくて立派だ。

「この辺りの家はみんな土地を持っていて、専業農家。達彦くんの家もそうだよ」

結局、事件の原因は誰も分からず。現時点では精神を患っていた「達彦くん」が突如発狂して事件に及んだ偶発的なものとしか言いようが無い。

しかし、今日もツイッターで「電磁波犯罪」で検索すれば、妄想性障害の患者のものと思われるツイートが流れ続けている。この病気は何なのか、淡路5人殺害事件とどう関係しているのか。可能な限り筆者は解明して行こうと思う。


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