温泉卵は、卵の黄身が65から70度で固まるのに対し、白身が固まるには70度以上の温度が必要なことを利用して作るものである。要は65から70度の温度をキープした状態で卵を茹でればよい。
そこで、今度はキッチン用の温度計を持っていくことにした。
卵にもごだわるため、遠回りになるが山梨県の道志村を通るルートで箱根に向った。道志村と言えば名水で有名なところで、丹沢の湧き水を引いてきた大渡の水汲み場があるのだが、その隣の販売所で、地鶏の卵が売られている。これが名古屋コーチンやアローカナの卵で、1個あたり100円以上もする高級品だ。
しかし、残念ながら販売所は休みだったので、次善の策としてさらに道を進んだところにある、直売所で地卵を買った。こちらは13個で700円。
さて、現地に到着。早速卵をネットに入れて準備する。
しかし、今日は源泉の温度がかなり高いようだ。写真では見づらいが、例の温度計は88.3度を示していた。どうも、この温泉は日によって温度が大きく変わるらしい。
写真の上から温泉が湧き出し、下に向かって流れている。下流にいくほど温度が下がるはずなので、どこかにちょうどいい温度のポイントがあるはずだ。温度計があってよかった。
下流に温度計を差し込むと、80度、75度と徐々に温度が下がっていき、67.9度と、まさに温泉卵にはこれ以上ない最適温度のポイントを発見。
現地には親切にもプラスチックのスコップが置いてあったので、最適温度のポイントに穴を掘って、そこに湯をためて卵を投入した。
卵を投入してしばらく置いてみたが、湯の温度は相変わらず68度前後の安定した温度をキープ。これで30分放置してみた。
温度が低いためか、殻は黒くならなかったが、割ってみると、まさにパーフェクトな温泉卵である。
温泉卵と言いながら黄身もドロドロということはありがちだが、この温泉卵は、箸で割ってみると黄身にはしっかりと弾力があった。一方、白身は箸で軽くかき混ぜると崩れるくらいトロトロである。
冷静に考えれば、わざわざ箱根まで行かずとも、温度計さえあれば家でも同じものが作れるのだが、やはり本物の温泉で作ったというところにプレミア感がある。しかし、現地は本当に硫黄臭い場所なので、あくまで自己責任でやっていただきたい。