去る4月7日、示現舎の事務所に横浜地方裁判所川崎支部の通知書が置かれていた。要は、不在だったのでピッキングして勝手に中に入りましたということなのだ。
執行官で電話で聞いてみると、全国部落調査を差し押さえる仮処分の強制執行を解放同盟側が裁判所に申し立てたのこと。当然、現物は存在しないので強制執行も空振りに終わり、その旨の調書を作るということである。
プライバシーだ、人格権だと言いながら、ありもしない本を探しに、他人の住居にピッキングして入るというのは、本末顛倒もいいところだろう。
さて、そして同時期に筆者に対して再び仮処分の申立てがされた。
今度は「同和地区Wiki」等に掲載された全国部落調査の削除を求めるというものだ。
仮処分の審査のための審尋期日は4月18日10時、横浜地裁相模原支部である。
それにしても、なぜ解放同盟は「全国部落調査」をここまでして隠したいのだろうか。
理由の1つは、部落地名総鑑は差別図書だと言ってきたのに、実は元ネタが融和事業の資料だったという事実が彼らのメンツを潰したことである。解放同盟は部落地名総鑑自体は差別ではないと言った広島法務局呉支局総務課長や塩見鮮一郎を批判したが、彼らの言ったことが正しいことが証明されてしまった
要は、差別目的で作られたものであろうと、部落解放の目的で作られたものであろうと、部落リストは部落リストであって、それが差別かどうかはそれを使う人次第ということなのだ。
もう1つの理由は、全国部落調査の内容を精査すると、今までのステレオタイプな部落像が大きく変わってしまうことだ。
全国部落調査によれば、ほとんどの部落の産業は農業である。部落と言えば肉屋や皮革というステレオタイプは明らかに間違いで、こちらのページのように、むしろ一部の部落だけにしか当てはまらないようなことを、あたかも全ての部落に当てはまるかのように言って偏見を広めたのは解放同盟ではないかということが疑われるのである。
また、富山県には233の部落が掲載されているのに、戦後指定された同和地区は1つもない。石川県、東京都、東北各県でも同じ状況がある。
部落の位置情報が公になると、解放同盟だけが、誰が「被差別部落出身者」かということを恣意的に認定できなくなる。「お前は地区外だから差別者だとか、君は地区内だから“きょうだい”」だと都合よく言えなくなる。
自らを「被差別者」とすることで同情を集めることで作られた、ある種の権威が崩壊してしまうのである。
さて、今回の仮処分の請求は「鳥取ループは今後一切全国部落調査の内容を公言するな」という強力なもので、これもまたあり得ないようなものだが、横浜地裁の例からすると、また仮処分が通ってしまう可能性はある。しかし、また大きく報道されるという二番煎じがあるのか、そこまでは予想がつかないところである。