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Channel: 宮部 龍彦 - 示現舎
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鳥取市の同和減免住民訴訟の顛末

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2012年9月26日に、2011年まで行われていた鳥取市下味野地区の同和対策固定資産税全面の違法性確認を求めて住民訴訟が提起された。しかし、今年2016年4月19日の最高裁判所決定により、「却下」という結果に終わった。つまりは内容について審理をせずに門前払いということなのだが、どうしてそうなったのかレポートする。

これがその判決文である。

鳥取地裁-判決-H270605.pdf

広島高裁松江支部-判決-H271125.pdf

裁判所は、概ね次の事実を認定した。

  1. 鳥取市では遅くとも平成9年からいわゆる「同和対策減免」が行われていた。
  2. 同和減免は平成23年度に25%となり、平成24年度には廃止された。
  3. 昭和51年から55年にかけて、下味野地区内で同和事業として小集落改良事業が行われた。
  4. 文献によれば、下味野地区内に「穢多村」があった。
  5. 鳥取市の広報誌に下味野地区の住民が同和問題に対する取り組みや、同和問題に係る経験を投稿した。
  6. 遅くとも平成9年以降、下味野地区には隣保館が設置されている。
  7. 平成23年7月20日以降、鳥取市全体で1623件、2558万7400円の同和減免が行われた。
    1. ここまで認定すると、もはや「鳥取市下味野には同和地区があります」と言っているようなものだと思うのだが、「それでも下味野で同和減免が行われたどうかは分からない」というのが裁判所の結論である。

      こうなった要因は、同和減免に関する文書の提出命令を申し立てたのに対し、裁判所が却下されたからである。

      鳥取地裁-決定-H260326.pdf

      この決定に対して、最高裁まで抗告したが、結論は変わらなかった。曰く、「租税法律主義があっても、行政には課税要件を開示する義務はない」ということなのである。

      結局のところ、司法は個別の部落の問題についての議論や救済をすることはなく、地区ごとに違いがあるはずの部落というものを一括りにして一般化した議論しかできないということだと考えられる。

      さて、おそらく読者が気になるのは、この結果が示現舎が訴えられている「全国部落調査」の裁判にどう影響するかだと思うが、これはよく分からない。

      「意地でも同和地区の特定を阻止する」ということが最高裁の意図なら、当然示現舎にとっては不利だろう。しかし、「同和地区を特定するような裁判は意地でも審理をしない」ということであれば、示現舎にはある意味有利に働く。「却下」ということは、すなわち現状維持であるからだ。

      いずれにしても「全国部落調査」の件は審理から逃げるという選択肢はそう簡単には選べないと思うので、どのような結果になるのか、注目である。


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