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Channel: 宮部 龍彦 - 示現舎
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部落探訪(12)長野県北佐久郡御代田町馬瀬口下宿

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長野県の小諸市と軽井沢町の間に御代田町みよたまちという町がある。別荘地として名高い軽井沢町に比べれば知名度は劣るが、御代田町も浅間山の裾野の高原にあり、その風景と過ごしやすさは負けず劣らずである。

そんな御代田町だが、2006年10月3日、当時の人権政策課長が自殺するという悲劇があった。その原因は、部落解放同盟による人権政策課長への執拗な攻撃であったことが、当時の町議会議事録に記されている。

御代田町の茂木もてぎ祐司ゆうじ町長は共産党員である。しかも、既に3選目だ。なぜここまで共産党首長が長期に渡って続くのかというと、この町でのかつての同和行政があまりにも酷かったからである。

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筆者は御代田町唯一の同和地区であった馬瀬口ませぐちにやってきた。しかし、見たところ普通の田舎の集落である。急峻な崖のそばにあり、冒頭の写真のように浅間山がよく見える。昭和初期の記録では、戸数29、世帯数129とある。

2006年12月8日の町議会で、当時町議会議員であった茂木町長が、人権政策課長自殺の背景を生々しく語っている。

この同和事業に対する現在の町の対応は、まさに部落解放同盟の言いなりで、異常な状況、13年間、私が見てきて、最悪の状況だと。その最悪の理由の1つは、この問題にかかわった職員が次々と病気理由の長期休職、最悪の場合、退職まで追い込まれていると。それでそのときに町長はこうした事態に対して、職員を守る立場に立っているか私は疑問であり、どう責任を感じているかと聞いたが、回答はありませんでした。

具体的には1991年から2004年までの間に、町の同和行政の担当職員が4人療養休暇、1人が退職に追い込まれた。茂木町長は担当職員の状況を次のように語った。

これまでも部落解放同盟の事務所に日常的に職員が呼び出されている問題を、私は一般質問で何回か取り上げてきました。職員の方からの内部告発もあって、昼夜を問わずに関係する職員が呼び出されて、数時間にわたって、ときには深夜まで職員の個人的な欠点まで含めて、暴力的な言葉で責めたてられた。

そして、「暴力的な言葉」の具体例として出された、部落解放同盟から町長あてに出された文書の内容の一部が次の通りである。

この小僧の起案文書は、あまりにも人をなめている記述だ。1年間雑用をさせられて、物乞い的な契約金を望むほど、当方は安い組織ではない。この小僧は町民のために信義を尽くして公務を執行しているか。答えはノーだ。職場に通勤しているだけで、1,000万円もの所得があり、年に10万円もの灯油代を支給され、退職金は多額、厚生年金は生涯で、ほとんど仕事らしい仕事はしておりませんが、いかがか。この小僧どもが当方に対して信義を重んじて誠実に契約を履行しろなどとは、あまりにも身の程知らずな言動だ。今後、吐いた唾は身をもって清算することになるでしょう。

この「小僧」というのが人権政策課長のことである。この文書を作成したのが部落解放同盟御代田町協議会の書記長であった竹内たけうちいさお氏である。

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当時の状況の話を聞こうと、竹内氏の家を訪れた。竹内氏は在宅で、なおかつ「示現舎」の名前は知っていたものの、取材は断られてしまった。

課長の自殺後も、竹内氏の生活相談の報告書には「職員の責任を果たさずに、死んだときも迷惑をかけて、まことに不愉快だ。そして町職員は甘ったれ過ぎてはいないか。公務員としての自覚意識とはこんなものか」といった趣旨のことが書かれていたという。

また、当時は御代田中学校での生徒の発言をめぐって、解放同盟によって町に対する確認会が行われるということもあった。

その後、町長選挙に立候補した茂木氏は当選。解放同盟とは対立し、同和事業廃止を訴えてきた共産党の町長のもと、町政は一気に同和事業廃止へと進んだ。

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地区内にあった、駐車場となっている空き地。「当集会所利用関係者以外駐車禁止します」とあるが、集会所は見当たらない。ここには「御代田町同和教育集会所」があったのだが、既に取り壊されていた。

また、御代田町には「御代田町隣保館」もあったが、こちらは現在では「御代田町人権啓発センター」と名前を変えて、現在でも建物が残っている。町によれば、「人権啓発センター」という名前ではあるものの、実際は保健福祉施設になっているということだ。もとは同和事業の補助金で建設された施設だが、用途変更にあたって国や県に補助金を返還する必要はなかったという。

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少しだけ細い道が残されているが、部落という雰囲気は感じられない。典型的な長野県の農村の風景である。

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地区内には立派な白山神社があった。

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地区内には大きな家もある。特に空き地や廃屋が多いということもない。

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人材派遣会社と、し尿汲み取り会社があった。

既にこの地区では同和事業は必要ないように感じられた。


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