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「全国部落調査」の発売禁止は、横浜地裁の仮処分により口火を切ったわけですが、これに対して保全異議を申し立てました。
保全異議というのは、裁判所の仮処分に対して、主に処分の取り消しを求めて意義を申し立てる手続きです。仮処分自体があくまで「仮」の処分なので、保全異議の手続きというのも本来は長々と行うようなものでもないのですが、出版禁止がらみだと慎重に行われるのが通例です。
債務者(示現舎側)が申立書を、それに対して債権者(解放同盟側)が答弁書を提出しました。それぞれの書面は以下の通りです。
保全異議申立書-H28-7-14.pdf
保全異議答弁書-H28-8-29.pdf
様々な主張がなされていますが、見どころとしては示現舎側が「被差別部落出身者という法律上の身分は存在しない」という趣旨の主張をしたのに対して、解放同盟側が「被差別部落出身者という法律上の身分が存在することは絶対に許されないと答えているところです。この点に関しては意見が一致しているわけです。
裁判官は、解放同盟に対して「業務を円滑に行う権利」と、過去の戸籍の不正請求事件について詳しく説明するように言いました。というのも、最初の仮処分の際に解放同盟側が同和地区Wiki等のウェブサイトに対する削除の申し立てを取り下げて、横浜地裁では本の出版禁止に関する仮処分だけが係属することになったにもかかわらず、解放同盟側の申立書の内容はウェブサイトと出版物のことがごっちゃになって分かりにくい状態になっていたからです。
さらに審尋が行われることになります。
次回の審尋期日は10月12日 13:10です。
部落解放共闘会議というものが各地にあり、解放同盟と連合系の労働組合が連携し、様々な政治活動を行っている。これは、解放同盟の政治力の根源の1つになっている。
その政治活動の1つが署名活動である。例えば鳥取市役所では、解放同盟→自治労→鳥取市役所職員労働組合という流れで組合委員への署名の要請がされることがある。
その署名活動が今まさに行われている最中だ。その内容は以下の画像のようなものである。
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国会と内閣に「差別禁止法」「人権侵害救済法」「部落差別の解消の推進に関する法律」の早期制定を求めている。
一昔前は、家族等も巻き込んで1組合員あたり3筆のノルマが課せられていたものだが、今回は1人1筆である。このことから、以前に比べれば若干力は弱くなってきていることがうかがえる。
小諸市と言えば、思い浮かぶのが島崎藤村の千曲川旅情の歌。「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ 緑なすはこべは萌えず 若草も籍くによしなし…」というフレーズだろう。そして、島崎藤村と部落と言えば、小説「破戒」だ。
ここ小諸市加増は「破戒」の舞台となった部落である。貴重な歴史資料と共に、この部落を探訪してみよう。
1933年の調査によれば、世帯数と人口はそれぞれ120世帯、661人とされる。
小説「破戒」には、主人公丑松の出自について次のように記述されている。
そもゝは小諸の向町(穢多町)の生れ。北佐久の高原に散布する新平民の種族の中でも、殊に四十戸ばかりの一族いちまきの『お頭』と言はれる家柄であつた。
この「向町」こそが加増の部落のことである。
まず、最初に目についたのが「惟善学校跡」と書かれた案内板だ。その名前の響きから、もしかするとと思って行ってみると、やはり思った通りであった。
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この地では明治13年から部落改善事業が始まっていた。その記念碑とも呼べるものがこうやって今に残されている。この地に被差別部落があって、「荒堀」という名前であることがこれで分かる。
ここは2011年に小諸市によって作られた「惟善学校跡地記念広場」であり、解放新聞でもその除幕式が報じられていた。
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広場には立派な白山神社があった。また、広場は地元住民にとって駐車場でもあるようだ。
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「荒堀老人憩の家」という施設がある。この部落は近世までは「向町」と呼ばれており、その後は「荒堀」という名前が定着したようである。
ところで、「破戒」には次のような会話がある。
『未だ校長先生には御話しませんでしたが、小諸の与良といふ町には私の叔父が住んで居ます。其町はづれに蛇堀川といふ沙河が有まして、橋を渡ると向町になる――そこが所謂穢多町です。叔父の話によりますと、彼処は全町同じ苗字を名乗つて居るといふことでしたツけ。其苗字が、確か瀬川でしたツけ。』
『成程ねえ。』
『今でも向町の手合は苗字を呼びません。普通に新平民といへば名前を呼捨です。おそらく明治になる前は、苗字なぞは無かつたのでせう。それで、戸籍を作るといふ時になつて、一村挙つて瀬川と成つたんぢや有るまいかと思ふんです。』
『一寸待ちたまへ。瀬川君は小諸の人ぢや無いでせう。小県の根津の人でせう。』
『それが宛になりやしません――兎に角、瀬川とか高橋とかいふ苗字が彼の仲間に多いといふことは叔父から聞きました。』
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このフェンスの下がその蛇堀川である。この川が「部落」「一般」を分けるものであったようだ。
なお、会話にあった「瀬川」という苗字は、この地では見られない。むしろ「高橋」が圧倒的に多く、それだけでなく、なぜか長野県の部落には高橋姓が集中しており、長野県では知る人ぞ知ることのようである。
無論、高橋姓が多い場所が全て部落というわけではないのだが、特に小諸・佐久地域では高橋姓が目立つ。
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実は、幸福の科学の大川隆法総裁にも多大な影響を与えたとされる、GLA教団の創始者、高橋信次の出身地である、佐久市瀬戸西耕地にも行ってみたのだが、その地にある白山神社の寄贈者の姓は全て高橋であった。
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亀井文夫のドキュメンタリー、「人間みな兄弟」には1960年頃の加増の映像が出てくる。農村の貧しい部落として描写されている。
なお、「人間みな兄弟」のDVDを買いたい方は、日本ドキュメントフィルムに問い合わせるとよいだろう。
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それから50年、昔のような茅葺きの家はさすがに残っていないが、この部落には廃墟と空き地が目立つ。
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廃墟の1つには、離れの便所が残されていた。
(次回に続く)
1962年から1963年にかけて、政府の同和対策審議会は「同和地区精密調査」を実施した。ここ、加増は調査対象の1つとして選ばれ、1963年に「同和地区実態調査報告書」が作成された。
報告書の作成から50年以上が経過しているので、報告書は著作権が消滅したパブリックドメインとなっている。
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報告書はこちらからダウンロードできる。
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報告書には、荒堀の位置が地図で示してある(なぜか「堀」の字が消えている)。また、小諸市内の他の部落、「四ツ谷」「平原」の位置も示されている。
加増の産業は農業が主ではなく、草履製造、家畜商、皮革、精肉商等であったという。そして、この部落の産業で特徴的だったのがウサギの革だ。
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「人間みな兄弟」にあったこのシーンは、ウサギの毛皮を干しているものと考えられる。
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表通りには、肉屋と、革製品の製造会社がある。当時の産業が今も残っていることが分かる。
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部落内にある荒堀薬師堂は、小諸市の重要無形文化財である。
毎年春になると「夜明かし念仏」という行事が行われる。以下はYoutubeに上げられている、その模様である。
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薬師堂の横に畜魂碑を見つけた。この地で古くから畜産業が行われていたことが分かる。
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部落内には公営住宅、保育所など福祉施設が多い。報告書によれば1955年に同和対策の隣保館が建設され、1963年に政府の「同和対策モデル地区事業」の対象となり、早くから同和事業が行われていた。公営住宅の建設、不良住宅の改修、道路の整備が行われた。
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現在、道路は概ね整備され、自動車が入るのに支障はない程度になっているが、あちこちに細い路地の面影が残っている。また、部落は全般的に傾斜地にある。
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また、家には臭突があることから、まだ下水道が整備されていないことが分かる。
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報告書によれば、部落の行事は白山神社を中心に行われる一方、宗教は浄土真宗が多く、そして「最近創価学会の信者がこの地区に27世帯に及んでいるのに注目したい」と記されている。
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そして、当時から課題だったのが過疎化だ。学校を卒業した若者は部落を出て、東京、名古屋方面に就職することが多かったという。部落の風景からも人口の減少が伺える、
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ただ、賃貸住宅もいくつか見受けられる。
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建て増しを繰り返したと思われる、比較的大きな民宿があったが、すでに廃墟となっていた。「民宿浅間」は電話帳には2002年まで掲載されており、地元の建設会社が経営していたようである。2002年の同和事業の終了と共に、営業を終えたということだろうか。
いつの間にか同和事業集結から14年、時の流れを感じさせる。
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部落の中に城があった。この城はさきほどの民宿の別館である。無論、ここも既に使われている様子はない。
島崎藤村ゆかりの観光地として、加増が再び盛り返す日は来るのだろうか。
昨年の8月に京都の島崎弁護士事務所によってプライバシー侵害で提訴されたネットの電話帳。6月27日に仮処分が取り下げられ、本訴も取り下げになってしまうのではと懸念されていたが、裁判が続行されることになった。
第1回の口頭弁論で訴状の陳述がされないまま休廷扱いになっていたが、先月8月19日に京都地方裁判所で審理を再開。その場で島崎弁護士は、ギリギリまで迷ったが、やはり訴訟を続行する旨を表明。さらに、今後ネットの電話帳側が裁判の書面の公開してはならないという趣旨の請求を追加した。
今までは個別の書面とネット上のアドレスを示して個別に書面の公開を禁ずる請求をしてきたが、それでは埒が明かないということで、包括的な請求をしたものである。
これに対し、裁判官は、執行係に負担がかかってしまう、実効性がないのではといった理由で、請求内容を整理するように苦言を呈した。
全国部落調査事件では解放同盟側が包括的な文書の公開の請求を申し立てて、あっさりと仮処分が認められたのとは対照的である。この違いが「同和」の威光があるかどうかによるものなのか、単に裁判所・裁判官による違いなのかは不明である。
そして、今後の事件の審理は「弁論準備手続」に付されることになった。これで。しばらくは非公開で審理が続けられ、時期は未定であるが、然るべき時に口頭弁論が再開されて、双方の主張が公開されることになる。
そこで、ネットの電話帳は、京都まで出頭する必要のない、電話による手続きを希望。裁判官はやや難色を示したが、そこは押し切って電話による手続きが決まった。
あらゆる点で異例なことの多いこの裁判は、こうして続けられることになった。
「ネットの電話帳事件特設サイト」で検索すると、これまでの経過を見つけることが出来る。
画像は鳥取市中央図書館の開架に置いてある「同和問題の解決のために(鳥取市職員同和研修資料)」という、鳥取市が作成した冊子の一部である。鳥取市民にとっては身に覚えがある地名であって、妙にリアルな世帯数が列挙されている。そのタイトル通り、鳥取市職員であれば必ず読むべき冊子であろう。
さて、6月の鳥取県議会では、以下のようなやり取りがあった。
◯椋田昇一議員 さて、実際、ヘイトスピーチ以外にもいろんなヘイト行為、差別的言動が発生しております。鳥取ループの常軌を逸した行為はその1つで、とどまるところを知りません。鳥取ループ・示現舎による全国部落調査部落地名総鑑の原典というタイトルの本の出版と、それをめぐる一連の事態を鳥取市行政は知っておられるのか、知っておられないのか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
私もこのことは承知いたしております。
以上でございます。◯椋田昇一議員 では、その鳥取ループが、鳥取市を含む鳥取県内、そして全国の同和地区の所在地や地図をブログに掲載するなど、差別意識をあおり、差別行為を助長する行為をしていることを鳥取市行政は知っておられるのか、知っておられないのか、簡潔にお答えください。
◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
この全国部落調査部落地名総鑑の原典、こういったものがネット上も閲覧できるような状況にある、このようなことを私も実際に確認して承知しております。
以上でございます。◯椋田昇一議員 では、市長、大ざっぱで結構ですが、いつごろ、そういう事態が起きているということを知られましたか。あるいは、それは市長個人だけじゃなくて、担当部局がありますから、鳥取市行政としていつごろから知っておられるのかということについてお尋ねいたします。
◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
私も正確な日時は自分自身で十分把握しておりませんが、担当課等からこういった状況がありますと、報告メールという形で迅速に私のほうにいろんな状況について報告してもらうような仕組みになっておりますので、そういったことでも確認しておりますし、このたびも、御質問いただくということで、私も改めてインターネット等でどういう状況にあるのかということを私なりに確認したところでございます。
以上でございます。◯椋田昇一議員 私も大ざっぱでいいと申し上げましたから、何年ということでなくて結構ですが、例えば先ほど申し上げました「鳥取県の同和地区」というのは、今から7年ぐらい前からブログに掲載されていますから、担当部署はそのころから承知しておられたというふうに私も承知しております。
そこで、続けますが、いわゆる鳥取ループがネットで流布している情報の中には、情報公開手続で鳥取市から入手したものも含まれています。そうした中で、平成24年、2012年の3月に鳥取市を被告として提起された同和地区に関する情報公開をめぐる裁判があります。これは最終的には最高裁まで行って、鳥取市が勝訴しております。同様の裁判は滋賀県との間でもあり、やはり滋賀県が勝訴しております。鳥取市が勝訴したこの裁判では何が争点であったのか。そして、裁判所の判決と、その判断の内容はどういうものであったのか、説明を求めたいと思います。◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
先ほど議員よりお話をいただきました裁判、本市が原告の求める公文書を不開示として決定したことを発端として、特定の地域に同和地区が存在することが明らかになる情報を開示することで、関係する個人の権利利益を害するかどうかが争われたものであります。平成25年3月に鳥取地方裁判所におきまして、本市が当該開示請求を拒否したことは適法であるといった判決が行われたところでございまして、原告はこれを不服として控訴したところであります。平成25年10月広島高等裁判所松江支部においても、本市の判断は合理的であり、開示請求を拒否した処分に不当な点はないとして、控訴を棄却されたところであります。この後、原告は最高裁判所に上告したわけでありますけれども、これが棄却されまして、平成26年8月に本市の勝訴が確定したといった状況であります。
以上でございます。◯椋田昇一議員 私の聞き漏らしがあったかもしれませんが、趣旨としては市長がおっしゃられたとおりでもちろん間違いございません。つまり、特定の地区の居住者及び出身者が差別にさらされるおそれがあると。だから、鳥取市が情報の公開を一部拒否したのは違法ではないんだと、こういうことでありました。
これはとても大事なことですので、そこをしっかり踏まえて今後の議論をやっていきたいんですが、全国部落調査という、先ほど申し上げました、その本を出版しようとする行為にことし3月、横浜地方裁判所が出版差しとめの仮処分決定をいたしました。そうすると、翌月4月に鳥取ループ・示現舎は、本に掲載する予定であったデータを今度はウエブサイトに掲載しました。これについても、横浜地裁がそのデータの削除を命じる仮処分決定を出しました。
そこで、市長にお尋ねしたいのですが、この仮処分決定の後に同和地区Wikiとか、あるいは「鳥取県の同和地区」と称するものなど、同和地区の地名や地図はウエブ上から削除あるいは閲覧できない状態になっているのか、いや、そうではないのか、現状についてどのように認識されているのか、お尋ねいたします。◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
まず、横浜地裁の差しとめ仮処分決定ということでありまして、この処分は全国部落調査部落地名総鑑の原典の出版・販売または頒布を禁止し、関連する著作物や資料を横浜地方裁判所で保管することを命ずるものであったと、このように聞いておるところでございます。このような書籍を販売すること自体が決して許されるものではありません。この決定は適切なものと私は考えております。
また、データの削除を命ずる仮処分決定も行われたところでございまして、昨今はインターネットを悪用したといいますか、非常に匿名性を悪用した書き込みや流布が散見されるところでございまして、これは憂慮すべき状況にある、決して許されるべきではないというふうに考えておりまして、この決定も適切な決定であるというふうに考えております。
また、インターネットのウエブサイトにこういったデータが掲載されているのかどうなのかということでありますが、この同和地区Wikiというサイトでありますが、私も詳しくはまだしっかり全部閲覧したわけではありませんが、こういった削除等が指示されたということでありまして、こういった部分については必要な削除は行われているのではないかというふうに考えておるところでございます。
以上でございます。◯椋田昇一議員 何事でもそうですが、現状をしっかり把握するということが大事なんですね。市長、紙ベースの本の差しとめの仮処分が出た。そうしたら、今度は紙ベースじゃなくてウエブ上にそのデータを載せた。それの削除決定が出た。ところが、そのブログそのものからは削除していますが、そこに示されたデータはほかにもいっぱい出ているんです。出しているんです。これはあるかないかという、とても大事なことなのでね。市長は私の言っていることを後で確認していただいたらわかることですから、信用していただいて、この後の議論を続けさせていただいていいでしょうか。あるという前提で議論になるのか、ないという前提で議論になるのかで全然変わってきますから、そのことだけ一言お願いしたいと思います。
◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
私もずっとインターネットのウエブサイト等を全部追っていったというようなことには自信がありませんけれども、少なくともそういった確認をした範囲では削除されているのではないかというふうに考えておるところでございます。
しかしながら、今、議員からも御指摘がありましたように、こういったインターネット上のいろんなウエブサイト等で瞬時に広がっていくというような状況もあり得るわけでありまして、また別のサイトでそういったものが閲覧し得るような状況にあるのかどうか、私も確認し切れておりませんので、そういったお答えをさせていただきたいというふうに思っております。
以上でございます。◯椋田昇一議員 市長、あるんですよ。仮処分というのは、そのものに対しての効力はありますけれども、残念ながら、ほかの同じようなもの、あるいは、同じものであってもほかに出てくると権限がないので。ですから、今は部落解放同盟は4月に東京地裁に本提訴しているんです。ということなんです。ミラーサイトもあります。
続けますが、鳥取市が裁判で主張したように、鳥取市内の同和地区の居住者や出身者が差別を受けるおそれがある、差別にさらされるおそれがある。これは鳥取市の主張でもあり、裁判所の判断内容でもあったわけですね。それが、市長、現在進行形でこの事態が推移しているんです。この鳥取ループの行為によって。市行政はそのことの事実や、とどまることを知らない深刻な実態の推移を、今お聞きしますと、十分には把握できていない、こう言わざるを得ません。それは市長自身がというよりも、やっぱり担当部局がしっかりとそこを把握して、市長に適宜的確な報告を上げていくということが、私はそこに問題の1つがあると思います。
いずれにしましても、現状をちゃんと把握していなかったら、その問題に対処することができないですよね。今、何が起きているのか、まずは現状を把握して、その後も変化する状況を捉えていく。これがいろんな取り組みをしていく上での一番基礎、ベースになることじゃないか、そういうふうに思いますが、市長、その必要性についてどのようにお考えになりますでしょうか。◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
先ほども申し上げましたように、こういったインターネット等が急速に普及したということで、なかなか実際には全て把握し切れないような状況もあろうかなというふうに思いますが、鳥取市として、できる限りそういった状況をしっかりと把握していく必要があるというふうに考えておりますので、今後もそのようなことでしっかり状況を把握していくことに努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。◯椋田昇一議員 先ほども申し上げましたように、今の点は本当に全ての出発点になる大事なことでので、市長から明確に御答弁いただきましたので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
ところで、市長、鳥取ループはその名に鳥取を冠しておりますが、鳥取県あるいは鳥取市とどのような関係があるのでしょうか。御存じの範囲内で御説明いただきたいと思います。◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
鳥取という名称を冠しているということでありますけれども、鳥取を名乗っておられるということでありますので、これは鳥取市としてはもはや他人事ではない、そういう認識をまず持つべきであるというふうに考えておるところでございます。
以上でございます。◯椋田昇一議員 市長としては非常に慎重な答弁でしたが、これは御本人がブログの中ではっきり言っておりますから。もちろんこの場で、きょう、私も名前は申し上げませんけれども、名前も含めて。先ほど鳥取市が裁判した相手でもあるわけですから。これ以上は言いませんが、しっかりそこを認識していただきたい。
さて、どこが同和地区なのか、あるいはここは同和地区なのですかというような問い合わせが全国で相次いで発生しております。鳥取県内でも、そして鳥取市内でも起きております。鳥取市役所にもありました。公民館にもありました。そのほかでも起きております。同和地区にかかわる情報をもてあそぶ鳥取ループの行為は、差別を助長し、または誘発する行為であり、同和地区の居住者及び出身者が差別にさらされる、まさにその現実を生み出しているわけであります。市長、鳥取市民が差別にさらされているんです。鳥取市長として当然見過ごすことはできないと思います。鳥取ループのこうした行為にどう対処していくのか、また、差別にさらされている鳥取市内の同和地区関係者に対してどう対応していくのか、答弁をお願いしたいと思います。◯深澤義彦市長 お答えさせていただきます。
インターネットなどを使った、差別を助長するような行為が後を絶たないような状況がある、まずこの状況を認識しておるところでありまして、いずれも許すことのできない、あってはならない、そういった行為でありまして、強い憤りを私自身も感じておるところでございます。一刻も早くこういったことを解消していく、そのことがまず必要であるというふうに思っております。そのためには、一人一人が人権尊重の理念についての理解を深め、差別を初めとするさまざまな人権問題に対して、他人事ではなく自分自身の問題として認識して取り組んでいく、そういった感覚を養成していく、そのことが今後もますます必要になってくるのではないかと、このように思っておるところでございます。あらゆる機会等を通じて、研修会等を通じてそのことにしっかりと取り組んでいかないといけないということを改めて感じておるところでございます。
また、これは鳥取市だけではなかなか限界もあろうかなというふうに思っておりまして、関係機関等々とも連携しながら具体的な取り組みをしていかないといけないというふうに思っておりますし、また、国等に対しましても、必要な要請等、そういった活動も今後していかなければならないのではないかなというふうに思っております。
今後もさまざまな活動、取り組みを通じまして、人権が尊重される、そういった社会の実現を目指してしっかり頑張ってまいりたいと、このように思っております。
以上でございます。◯椋田昇一議員 これだけ鳥取市の情報が出され、それによって差別を受ける危険な状況にさらされているという中においてどうしていくのか。今の答弁は残念ながら非常に抽象的だったと思いますが、しかし、そのベースとなる認識については市長と共通理解できたと思いますし、市長の強い決意も示していただいたと思いますので、具体的にどうしていくのか、これはみんなが知恵を出し合い、また協力していくという側面も必要だと思いますので、しっかり今後取り組んでいただきたいですし、議論を重ねさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
今申し上げましたように、部落差別が現在もなお存在すること、部落差別は許されないものであり、これを解消することは重要な課題であること、この点については論をまちません。そこで、今申し上げたように、では、その部落差別を解消するにはどんな取り組みや施策が必要なのかを考えなければなりません。まずは、取り組むべき対象となる部落差別の実態を調査して、ちゃんと把握していく、ここが出発点だろうと。そういう意味で市長は、市長あるいは鳥取市の取り組みが、差別にさらされている市民に期待と希望を持ってもらえるような、そういう積極的な施策を進めていただくようお願いして、この件については終わり、次の教科書制度について質問を移したいというふうに思います。
この議論に決定的に欠けているのは、やはり前述の「同和問題の解決のために(鳥取市職員同和研修資料)」との兼ね合いをどう考えるかということである。なお、鳥取市は以下の文書も作成してインターネットで公開した。
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椋田昇一議員は「同和地区にかかわる情報をもてあそぶ鳥取ループの行為は、差別を助長し、または誘発する行為」と言うが、過去に鳥取市が(市民や市議会、部落解放同盟等の団体と一緒に)行ってきた同和地区の特定・公開との違いを説明していない。むしろ、未だに「同和地区の住民だと差別の対象となる」といった風評を拡散し続ける行為こそ悪質なはずである。
また「部落差別を解消するにはどんな取り組みや施策が必要なのかを考えなければなりません」と言うが、何も具体的な解決策は示されていない。
まずは、「こんな物で騒ぐのはくだらない」ということに気づくことが解決の一歩ではなかろうか。
阿波市の主な部落は吉野町西条にある。その中でも最大の部落は井ノ元で、隣は庄境である。1935年の記録では戸数がそれぞれ225戸,168戸で、人口はそれぞれ772人,1032人。生活程度は極端に悪くはなかったようだ。
写真は隣保館の吉野一条ふれあい会館の近くにある建物で、「君が代会」とは近くにある一條神社の氏子の集まりだ。
Youtubeに昨年の祭りの様子がアップロードされていた。
この地域をパノラマ撮影したので、現地に訪れた気分でご覧頂きたい。
ご覧の通り、この井ノ元部落はニコイチ、空き地、廃墟という三要素があまり見られない。
自身も部落在住であり、市役所職員であったという地元部落マニアによれば、徳島の部落には古物商が多いという特徴があるそうだ。確かに、この付近にもいくつかスクラップ業者が見られた。そして、映像にもあるソーラーパネルが比較的小さな土地にも設置されていることである。これは、土建業者が設置している例が多いという。
部落の人間がいつまでも部落に縛り付けられているかと言えば、意外とそうでもないという。各部落に特徴的な姓とその分布を調査し、地元への聞きこみを行うという研究を続けたところ、部落内のある区域がまとまって一般地区に移転している箇所があちこちにあるし、過去の文献には見られないが、同和地区指定された部落もあるという。
また、貧富の差が大きいのも特徴だ。部落の中にも豪邸がいくつか見られ、それらは土建業者のものである場合が多いという。
部落外ではあるが、近くにある、昭和44年に作られた市営住宅に案内していただいた。これもパノラマ撮影したので、ぜひ体感していただきたい。
ここにも部落の住民がかなり入居しているという。かなり老朽化しており、今となっては完全に時代遅れの建物だが、建て替えの予定はない。
団地には高齢者が多いが、一方、若い人でも幼い頃から同様の団地に住んでいると、それが「当たり前」となってしまい、結婚して一度は他の地域に出るものの、夫婦で戻ってくるケースが多いという。なにしろ家賃が安いので居心地がよく、こうして階層が定着してしまうのだそうだ。
氏が選挙の際に投票所で仕事をした経験では、そのような住民は「見た目で分かる」と言う。住宅等にお金をかけない分、衣服や自動車にお金をかけるので、身なりで分かるのだそうだ。
余談だが選挙と言えば、白票を持ち帰らせて、それに特定の候補者の名前を書いて再び投票所に持ち込んでまとめて投票するという手法は徳島県が元祖だという。
「部落差別はどうやればなくなるでしょうか?」
そう問うと、
「う~ん、なくならないでしょう」
と身も蓋もない答えが返ってきた。
ただ、かつてのように解放同盟と行政がべったりだった状況は徳島ではなくなったという。同和事業が行われていた時代は、解放同盟が隣保館を間借りしていて、解放同盟がまるで役所の一部署の状態で、個人給付等の同和行政の事務を行っていたのだが、同和事業が終わったらあっさりと出ていき、長々とトラブルになるということはなかったそうだ。
今年の夏、示現舎にある映画のDVDが送られてきた。タイトルは「人間みな兄弟 部落差別の記録」。1960年に作成された記録映画である。
この映画では、当時の様々な部落の映像が映し出される。それらの部落のその後を見ると、様々な発見がある。DVDを見たくなった方は、日本ドキュメントフィルムに問い合わせてみよう。
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後援団体の表示。部落解放同盟と部落問題研究所の協力のもとに制作されたことが分かる。現在では、解放同盟と対立している部落問題研究所も、当時は協力関係だった。
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最初に映し出されたのが、「一般と部落」の境界となる場所。部落に入った途端に道が細くなっている。
石柱に「光雲寺」とあることから場所が特定される。実はこの場所は京都市左京区の錦林地区で、現在の様子をグーグルストリートビューで見ることが出来る。
このように細い道は拡張され、部落には市営住宅が立ち並んでいる。しかし、石柱と石垣、生け垣、電柱の位置は当時と全く変わっていない。
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こちらは奈良県御所市の小林部落。住井すゑの小説「橋のない川」に出てくる「小森部落」のモデルになったとされる部落である。
Youtubeに現在の様子の動画があった。
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和歌山県西牟婁郡上富田町朝来にある大谷部落。文字通り谷間にある。
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和歌山県田辺市本宮町本宮にある苔という部落。
現在は、階段状の土地がコンクリートで固められて整備され、ニコイチ住宅が立ち並んでいる。
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ナレーションによれば奈良県五條の川原にあるという部落。現在の奈良県五條市五條と考えられる。ゴミが散らばっているのは、伊勢湾台風の被害に遭ったためである。
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和歌山県和歌山市杭ノ瀬の平坦地にある部落。現在地を地図で見ると、かなり都市化が進んでいる。
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京都八幡の部落。おそらく現在の八幡市八幡軸と考えられる。
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和歌山県串本の部落。おそらく現在の東牟婁郡串本町和深と思われる。
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和歌山県有田郡湯浅町湯浅。
山の稜線からすると、現在地はここだろう。
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小諸の部落。詳しくは部落探訪(15)を御覧いただきたい。
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大阪の矢田部落。現在の大阪市東住吉区矢田は市営住宅が多くて空き地も多く広々としているが、当時はこのように住宅が密集していた。
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堺市の耳原部落。詳しくは部落探訪(3)を御覧いただきたい。
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就職差別により吹田駅で女学生が列車に飛び込み自殺したという部落。猫の毛皮が干してある。残念ながらどの部落かは分からなかった。なお、映画ではその女学生の轢死体と思われる映像が映し出され、製作者の本気度がうかがえる。
※読者の方によれば、これは1959年1月の吹田市立第二中学校3年生に対する住友信託銀行による「就職差別事件」で、映し出されている部落は「大阪の同和事業と解放運動」によれば獣皮加工が主産業とされる、現在の吹田市岸部中ではないかとのことでした。女学生は両親が部落外の出身で戦後ここに移り住んできており、本人は、自分より成績の悪い同級生が合格したので、落ちたのは差別によるものと思い込んでいたとナレーションがされています。
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食肉で有名な大阪府羽曳野市の向野部落。ハンナンの浅田満元会長の出身地としても有名になった。映画では屠場の様子も映し出されていた。
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奈良県曽我川の土手下にある部落。おそらく磯城郡三宅町上但馬のこと。野球グローブ等の革製品の製造で潤い、豪邸が立ち並ぶ珍しい部落として描写されている。現在も奈良県スポーツ用品工業協同組合があり、野球用品の一大産地である。
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三重県有馬の南地部落。現在の熊野市有馬町の海岸沿いにある。映画では、ここには「鈴木」姓が多く、研究の結果武士の末裔であることが分かり、「もはや部落ではない」として記念碑を建てる様子が映し出されている。
その記念碑が今はここにあるようだ。現在は紀州の典型的な田舎町のたたずまいで、同和地区指定された形跡がない。
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日高川の土手下の薗という部落。現在の御坊市薗のことである。日雇い労働者の部落であった。
(次回に続く)
日本最大の同和地区はどこか。京都の崇仁だとか北九州の北方だとか様々な言説があるが、答えは1つである。大阪市の西成地区だ。
2003年2月に大阪市人権協会が発刊した「50年のあゆみ」によれば世帯数10,445、人口22,027で、次に大きな地区である浪速地区の世帯数2,729、人口5,936を大きく圧倒し、全国でも比類なき規模である。しかし、西成に対しては様々な誤解がある。この地区の一部を探訪しつつ、その誤解を少しずつ解いていこうと思う。
西成と言えば、講談社の漫画雑誌別冊フレンド(1996年3日)に掲載された、みやうち沙矢の「勉強しまっせ」が「気の弱い人は近づかない方が無難なトコロ」と説明し、その結果、西成区内の部落解放同盟関係団体等の抗議により掲載誌の回収と連載中止に追い込まれたことがあった。
しかし、ここで言われた「西成」は部落の「西成」ではなく、主に新今宮駅や萩ノ茶屋駅周辺の釜ヶ崎(あいりん地区)のことを指すと考えられる。90年代の釜ヶ崎と言えば、新今宮駅はゴミだらけで、路上で盗品が売買される「どろぼう市」があり、そこらじゅうに浮浪者の小屋があり、路上で覚醒剤が売買され、暴力団がノミ行為を行うなど、確かに気の弱い人は近づかない方が無難なトコロであった(今でも先述のようなものが一掃されたわけではないが、あれでもかなりマシになった)。
西成は様々な顔を持つ街で、先述の釜ヶ崎の他、遊郭地帯として有名な飛田新地(山王)があるし、あちこちに「じゃりン子チエ」が出てきそうな下町の商店街があるし、南部は高級住宅地の帝塚山と接している。そのような、何でもアリなところが、今となっては逆に西成の観光資源になっていると言えるだろう。
さらに明治期にさかのぼると、淀川を越えて神崎川の辺りに至るまで、現在の大阪市北部一帯が西成郡に属していた。西成は今でも広く、昔はもっと広かったのである。
さて、ここでスポットを当てるのは部落としての西成である。とすると、やはり参考文献としては先述の大阪市人権協会が発刊した「50年のあゆみ」が最も重要なものになるだろう。「50年のあゆみ」によれば、西成の同和地区の範囲は次の通りである。
北開1~2丁目、中開1~3丁目、南開1~2丁目、出城1~3丁目、長橋1~3丁目、鶴見橋1~3丁目、旭1~3丁目、北津守1~4丁目
以下は、それを分かりやすく地図上で区切ったものである。真ん中あたりの紫色の大きな地区が西成同和地区である。
ご覧の通り、新今宮駅や萩ノ茶屋駅周辺は同和地区に含まれていないことが分かる。街の様相も、労働者の街である釜ヶ崎とはかなり異なる。
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新今宮駅から西に進んで歩道橋から見下ろしたところ。住所の上では完全に同和地区内のはずだが、普通にニトリもあって、とても同和地区には見えない。無論、事実として現在は同和地区としての扱いはされていないはずだ。
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工学系高校の名門である、この今宮工科高校は住所表記上は出城の中にあるが、ここが同和地区と言えるかは微妙だ。
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中開1丁目のバス停。三開とは北開、中開、南開という3つの街のことを指している。
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新大阪タクシーの営業所がある。現在の新大阪タクシー株式会社は、かつての「財団法人大阪同和産業振興会・新大阪タクシー事業局」であり、文字通り同和地区の雇用対策として作られたものである。そのマークは部落解放同盟の星入り荊冠旗をモチーフにしている。
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中開3丁目にある廃墟と空き地。これは、かつての「大阪市立西成同和地区解放会館」である。
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その近くには、24時間400円という格安のコインパーキングが。この近辺では24時間400~600円が相場だ。駅からは少し遠いが、自動車で観光で来る人、車中泊をする人にはオススメである。
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市営住宅が立ち並んでいる。既に一般化されており、誰でも入居できるのだが、ここは駅から遠いため入居率はよくなという。しかし、旧同和住宅でも駅に近い場所は人気が高いとの評判だ。
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下町っぽいたたずまい。ただ、このような形式の平屋は今でも大阪のあちこちで見られる。
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革製品の工場があった。漉割と書いて「すきわり」と読む。
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市営住宅と、閉鎖された保育所が入り混じっている。
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老人向けの施設は運営されている一方、保育所が閉鎖されていることから、高齢化していることが伺える。
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こちらは同和対策として設置された浴場である文化温泉。入浴料は410円と、東大阪市の荒本の寿温泉が250円であることと比べると残念ながら格安感は感じられない。
西成地区は、地図で見ると浪速地区と隣接している。「50年のあゆみ」によれば、開という地名は海を埋め立てて開発されたことに由来しており、浪速同和地区の前身である西浜部落から派生した部落である。大正時代に在日コリアン、沖縄出身者、貧困労働者が流入して人口を増やした。また、1945年3月の大阪大空襲では、大部分が焦土と化した。
ということは、ここは隣接する西浜部落の一部とも見る事ができるし、部落ではなくてスラムではないかと見る事もできる。この点は別の資料と共にさらに検証しよう。
(次回に続く)
26日11時から東京地方裁判所で、全国部落調査事件の第2回口頭弁論が行われます。前回に続いて、今回も傍聴は抽選となりました。傍聴希望の方は10時40分までに東京地裁に来る必要があります。
示現舎および全国部落協議会は10時に、近くの日比谷公園の「かもめの広場」に集結します。目印は水平社旗です。
弁論終了後は、また警備員に取り囲まれて、なかなか法廷から出られないことになると思いますが、12時ごろには東京地裁正面ロビーに居る見込みです。
9月26日10時に東京地裁103号法廷で全国部落調査事件が行われました。今回も傍聴は抽選となり、倍率は1.2~1.3倍だったようです。
なお、10:00にかもめの広場に来ると告知していましたが、地下鉄千代田線で信号トラブル及び病人が発生して大幅に遅れてしまいまして、何人かとすれ違いになってしまったようです。申し訳ありませんでした。
例によって双方の書面の陳述が行われるのですが、解放同盟側は15分ほど概要について説明していました。おそらく事前に練習していたのか、弁護士は感情を込めて陳述していました。
裁判官に、被告側も概要を説明したいと申し出たのですが、一度陳述が終わった後はそれはできないので、要は先に言えということでした。すったもんだした挙句、次回は双方が10分ずつ概要を説明することになりました。
裁判というのはいくつか暗黙のルールがあり、裁判所や担当の裁判官によって微妙に違いがあります。今回の裁判官は、見かけによらず、ややマッチョな感じでした。
今回の裁判は当事者は全国部落調査に関することを全面に出していますが、裁判官の関心はそれよりも「解放同盟関係人物一覧」になるようで、解放同盟側は人物一覧に掲載されていない人物も原告に加わっていることについて説明するように求められました。
後でとある記者から「ああいうことになるし、弁護士を付けないのですか?」と聞かれましたが、示現舎は自主自立なので、今後も不屈不滅の精神で本人訴訟で行います。
双方の書面は次の通りです。
被告-準備書面-H28-8-3.pdf
証拠説明書-H28-8-3.pdf
原告-準備書面-H28-9-26.pdf
証拠説明書-H28-9-26.pdf
双方の主張の概要を簡単にまとめると、次の通りです。
被告:原告らが「被差別出身者」であるとは、法律的にも社会的にも学術的にも認められない。
原告:そうだとしても、被差別部落出身者は存在するし、中傷をすれば人格権侵害は成立する。
被告:全國部落調査は昭和11年3月に財団法人中央融和事業協会が作成したもので、原告とは関係がない。
原告:人格権侵害あるいは不法行為を理由とする請求なので、財団法人中央融和事業協会と関係あるかどうかは問題ではない。
原告らのうち13名は部落解放同盟関係人物一覧に掲載されていないが、自分や近親者の現住所や過去の住所が部落所在地として掲載されているので人格権侵害を受けている。
被告:全國部落調査は誰でも内容を知る可能性があったもので、それがいまさら公になっただけであり、さらに目録にある書籍は存在していないので、訴えの利益がない。
原告:将来に渡るネットでの公開や出版を禁ずるもので、訴えの利益がある。目録にある書籍は存在し、被告の主張は虚偽である。
被告:同和地区Wikiは現在は被告が管理運営しておらず、ドメインを管理していただけである。「解放同盟関係人物一覧」なるものが、どうやって作成されたのか被告らは関知しないところである。
原告:被告の主張は虚偽で、同和地区Wikiの記事を削除する権限を有していたと自白していたし、同和地区Wikiを開設したと宣伝していた。「解放同盟関係人物一覧」の記事は横浜地裁相模原支部の仮処分の後に削除された。
被告:早稲田大学名簿提出事件は、「江沢民国家主席の講演会に参加を申し込んだ学生」という情報を大学が警察に提出したことが違法とされた。また、NTT電話帳事件では、NTTと契約関係にある顧客が、電話帳への掲載を明示的に断ったにも関わらず掲載したことを違法とした。本件とは異なる。
被告:そもそも原告解放同盟は自ら「部落住民・部落出身者で構成する自主的大衆団体」と主張をしており、なおかつ自ら差別される人々だといった趣旨の主張をしている。
被告:解放同盟は会員が役職と本名を明かして政治的な活動を行っている実態がある。原告らの主張が「解放同盟は部落解放運動団体だから、他の政治的団体に比べて特別な配慮を必要とする」といった趣旨であれば、それこそ部落問題を特別視することである。
被告:宇都宮地裁栃木支部昭和33年2月28日判決を引き合いに出し、部落の住民と精神病者を同列視するような、双方に差別的な原告の主張こそ危険な考えである。
被告:私人間に「憲法の規定が直接に適用されるということはない」(いわゆる三菱樹脂事件判決(民集27巻11号1536頁)を念頭に置いたものである)と言いながら、私人による出版行為を憲法の趣旨に従って禁止せよという主張は矛盾している。
被告:全國部落調査には、記載された部落が「被差別部落」とは書かれておらず、戸数が少なく集落ですらないものもある。しかし、全國部落調査は「部落地名総鑑」の原点が政府の外郭団体によって融和事業の推進のために作られた文書だった事実を示し、また様々な部落問題研究の基本文献であって学術的価値が高い。
被告:東京法務局長が原告に部落リストの削除などを求めた行為は「説示」であって「行政指導」ではない。さらに行政手続法32条には、行政指導の内容は「相手方の任意の協力によってのみ実現される」ものであり「相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない」とある。
被告:最高裁が滋賀県の「同和地区地域総合センター要覧」を非公開にしたのは、事務事業支障情報という理由であって、個人情報であるとの判断はしていない。
被告:原告解放同盟に政治的な意味で都合が悪いから今回の件への対応を迫られているに過ぎず、原告解放同盟の業務を妨害しているとは言えない。これが業務妨害なら、誰かにとって都合の悪い言論は業務妨害ということになり、国民の言論活動が成り立たなくなる。
被告:同和地区の地名は、行政や原告の関係団体によって過去に何度も出版物で公開されている。
特に鳥取県、大阪府、京都府、長野県、和歌山県、徳島県、高知県、奈良県、群馬県、滋賀県は府県単位の部落名リストが図書館等にあり、京都府、和歌山県は全國部落調査の内容そのものである。原告:全国の部落名リストではないし、出版部数が限られているか、学術目的に利用が限定されているか、図書館にあっても一般人が容易に見つけられるものではない。
被告によるものは、全国を網羅し、コンパクトで読みやすくし、もとが手書きのものを活字化し、現在の地名を掲載し、調査。研究に限定されていないので、だめ。
被告:同和事業で作られた隣保館等の施設が同和地区の目印になっており、全国隣保館連絡協議会・厚生労働省は隣保館が同和地対策として設置されたものであると認めている。それらのことは原告も認識している。
原告:隣保館は必ずしも同和対策のためではなく、アイヌ対策の生活館もある。隣保館は同和地区の目印ではなく地域に開かれた施設である。しかし、被告らのように差別的意図をもって、これらを「目印」とするような人がいることも否定できない。そこで、それらの情報の扱いには慎重さが必要。
被告:解放同盟の綱領の解説には「部落解放が実現された状態とは、部落民であることを明らかにしたり、歴史的に部落差別を受けた地域が存在していても、何らの差別的取り扱いや排除・忌避を受けることなく人間としての尊厳と権利を享受し、支障なく自己実現ができる社会環境になることである」とある。これによれば、部落問題解決のために部落の場所を隠すことを要件としていない。
原告:現実の社会が「部落解放が実現された状態」でなはいので、部落の場所を公開してはいけない。現に戸籍の不正取得などがある。部落の場所を明らかにするという前提で部落解放運動が行われてきたというのは、綱領の誤読である。
被告:原告らはプライバシーを口実に、部落問題に関する言論全体を支配しようとしているものである。
原告:本件訴訟は、「部落の地名をどのように扱うかについて」の議論に関するものではかく、部落の地名の公表等により実際に権利侵害を受けた原告らが被害の救済をはかるためのものである。
被告:原告らは「被差別部落出身者」なる身分を裁判所に認めさせようとしている。
原告:勝手な思い込みに過ぎない。原告らは、社会的実体として「被差別部落」が存在することを前提に、被告の行為が「被差別部落」出身者を含む原告らに対する棺利侵害にあたることを主張しているだけである。
被告:部落問題は、おそらく多くの人にとっては理解不可能な問題であって、その起源も学術的に解明されていない。何をもって「部落」と言えるのかも定義がない。
原告:定義がなくても差別はある。「黒人」の定義が定まらなくても黒人差別は成立するし、障害者の定義が法的に定まっていない段階でも障害者を侮蔑する発言を行えば障害者差別であり、いずれも人格権侵害等が成立しうる。
解放同盟は「被差別部落とは、身分・職業・居住が固定された前近代に穣多・非人などと呼称されたあらゆる被差別民の居住集落に歴史的根拠と関連を持つ現在の被差別地域である」と定義している。
被告:「部落民」の定義がない。同和対策事業においても、血統を基準にするのか住所を基準とするのかその両方を基準とするのか、地域によりまちまちであった。出身地という概念自体も曖昧なものである。
原告:定義がなくても差別はある。
解放同盟は「歴史的・社会的に形成された被差別部落に現在居住しているかあるいは過去に居住していたという事実などによって、部落差別を受ける可能‘性を持つ人の総称」としている。
被告:「部落差別」の定義がない。解放同盟は「日常、部落に生起する問題で、部落にとって、部落民にとって不利益な問題はいっさい差別である」としているので、何でも差別と言えるのではないか。
原告:定義がなくても差別はある。被差別部落出身者であることを理由に不利益な取り扱いをすればそれは部落差別である
被告:「差別されない権利」は全ての国民に等しくあるものである。今でも「部落差別」が残っているとすれば、原告らも差別を温存した「共犯」である。「差別されない権利」があるなら、なおのこと被告らは次世代に問題を先送りしないため、前世代の間違った因襲を破壊しなければならない。
原告:「差別されない権利」は全ての国民に等しくあるものである点は認める。
被告:原告解放同盟は「被差別部落民」の代表ではない。
原告:「原告解放同盟は『被差別部落民』の代表」だという主張はしていない。
被告:全國部落調査に掲載されているから差別対象ではない。例えば「嫌悪すべき歴史的背景に起因する心理的欠陥」のある不動産物件は宅建業法47条により告知する義務があるが、国土交通省は同和地区に物件があることを回答しなくても宅建業法47条には抵触しないとしている、
原告:国土交通省の説明の趣旨は部落差別を助長しないためであって、心理的欠陥とは関係ない。
被告:解放新聞が掲示してあることで部落だと分かる部落もあるし、見た目からして異様な部落があるし、保育所の保護者会が天皇制や戸籍制度に反対する活動をしている部落がある。そのような実態が部落の偏見を広めている。部落の場所を特定しなければ、個別の部落が抱える問題は解決できない。
原告:「部落の場所を特定しなければ、個別の部落が抱える問題は解決できない」ことはあり得るが、部落地名をネットで拡散させることとは別次元である。
被告:全國部落調査は米国のネット図書館等に拡散しており、出版禁止はもはや無意味である。
原告:それでも意味がある。
被告:全國部落調査のデータは、解放同盟の綱領の解説でも援用され、様々な学術論文から引用されており、学術的価値がある。
原告:部落問題の研究者は当事者の悲痛な思いに向き合っているが、被告は被差別部落を訪れ、写真を撮影し、それをインターネット上に晒すことを推奨しているようで、学問目的とは考えられない。全國部落調査自体、被差別部落名等を羅列した中央融和事業協会の内部文書に過ぎず学術的価値はない。
被告:滋賀県甲賀市では「ニンジャファインダーズ」と称して忍者の子孫を探したように、「部落ファインダーズ」を結成するべきである。
原告:忍者と被差別部落の同一性ないし類似性が明らかではない。
被告:同和地区Wikiはプロバイダ責任限定法の特定電気通信設備に該当するため、直ちに管理者が責任を負うものではない。また、掲載された記事は原告を含め誰でも編集可能だった。
原告:被告宮部は同和地区Wikiで自ら情報を発信し、内容を熟知していたので免責されない。
次回期日は2ヶ月ほど先で、12月に入ってからとなります。
次回口頭弁論期日
12月12日(月) 14:00
東京地裁103号法廷
書面提出期限
12月5日
映画の前半では様々な部落が紹介されたが、後半では当時の部落が抱える問題が生々しく映し出され、同時期に作られた有名なドキュメンタリー映画「世界残酷物語」を思わせるものがある。部落の人々が権力側に加担した歴史、また部落の貧困の全てが直接身分差別に由来するものではなく、戦後に貧困者が集まってスラム化したという、今では語られづらい負の側面にも目を向けている。
DVDを見たくなった方は、日本ドキュメントフィルムへ。
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大阪合同通運の労働争議の様子。
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スト破りのヤクザ、スキャップ(ストライキの際に操業を続けるための代替要員)として部落の人間が会社に雇われたという。この時は日当500~700円で浅香部落からスキャップが雇われた。
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労働組合に恨みはない、金のためにやったと語る部落の人々。
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会社から支給されたスト破り要員の制服を普段着にしている部落の青年。
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釜ヶ崎の労働者もスト破り要員として駆り出された。時給200円だったという。写真の場所は現在の阪堺電気軌道新今宮駅前停留場。
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古地図にある余戸エタ村。余部、天部とも書く。東三条とも呼ばれるこの部落は、現在の京都市東山区の三条駅付近にある。三条地区のことである。
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当時の東三条の様子。
映像にある鳥居は、この大将軍神社のものだろう。
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ここは江戸時代は警吏の部落であり、この場所には牢屋があったという。
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民家に残る、捕り物道具。
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江戸時代の処刑の様子を記録した資料も残されている。これは三条河原に晒された首。
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三条河原と言えば、石川五右衛門が釜茹でにされたり、石田三成が斬首されたり、大河ドラマでもおなじみの場所だ。
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こちらは東七条部落(崇仁)。
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この男性は名古屋に住んでいたが、伊勢湾台風で家と職場を失って身寄りをなくし、この部落に流れてきた。部落の住民の世話で、バタ屋(屑物商)をやっているという。
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これは化粧品の量り売り。他にも食料品や燃料など、少量ずつ安く物が売られていたので、貧困者にとって部落は暮らしやすいところであったという。
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これはホルモン。とても安く買えたそうだ。
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東七条の高瀬川沿いの朝市。何でも買えた。
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ここは、現在の京都市下京区屋形町。東七条部落の近くで、現在の崇仁地区に含まれるが、戦後にバラックが立ち並んで出来た「スラム」であるという。
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浄土真宗のお寺がある部落(場所不明)。
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火事で焼け落ちた寺に、親鸞上人の姿が現れたと言って念仏を唱える部落の老人たち。
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部落解放同盟が組織され、行政闘争を行い、団地が作られる部落。場所は不明だが、おそらく大阪のどこかと考えられる。
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部落の医療を改善するために作られた、耳原病院。それより前は、部落にとって病院とは死亡診断書を書いてもらうところだったという。この病院は堺市協和町に現存する。
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部落の浴場。おそらく、堺市の「ほてい温泉」と考えられる。当時の入浴料は5円。安いので部落外からも入りに来る人がいるのは今も変わらない。
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和歌山県で行われた「責善教育」の基本方針。現在では見る影もなくなってしまったが、「同和教育」も当初はこのような教育であった。「合理的、科学的な正しい物のみ方」は大人こそ身につけるべきだろう。
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山また山の紀州の山奥にある12戸ばかりの部落。残念ながら正確な場所は特定できなかった。現在の田辺市と考えられる。
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部落では、やむなく血族結婚を繰り返し、白子(アルビノ)の子供が何人か生まれた。当時は「白子が学校に通うなんて」という風潮があったが、地元の芦尾小学校の全面的な協力で入学が実現したという。責善教育の成果として紹介されている。
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紀勢本線のトンネルの上にある和深部落。90世帯、450人が暮らす。現在の和深駅の西側の辺りである。
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この部落の問題は、井戸が1つしかないことで、水くみのために子供が駆り出されることが学力の低下を招いていることと、特に水が不足する夏に衛生状態が悪くなることである。
当時、眼病であるトラコーマはほとんど解消されたが、部落にだけトラコーマが残っていた。
「これが差別だ、差別の壁を乗り越え、人はみな兄弟の理想を実現するために、さらに長い困難な道を歩かなければならない」と映画は結んでいる。
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それでは、改めて本書の紹介を致します。
「人名力」運営者として著名な宮本洋一氏が全国の都道府県立図書館を巡り、約一万五千冊の文献により、約十万件の姓氏を調査しました。まさに、史上最大規模の姓氏辞典です。
収益の約半分は、書籍版・日本姓氏語源辞典の制作費用に充てられます。
それぞれの姓の由来の解説のほか、アイヌ系、コリア系など由来別に姓を分類した一覧があり、日本人のルーツに迫る一冊です。
2015年1月8日の夜、岐阜県瑞穂市で会社役員の山崎光実氏が、目出し帽をかぶり、包丁を持った男に襲撃され、重傷を負った。後にこの事件で4人が殺人未遂で逮捕され1人が不起訴となった。
今年の10月4日、このうち2人の裁判員裁判が岐阜地方裁判所で行われ、10月7日の論告求刑で、検察側は2人に懲役8年を求刑した。
今年の9月、筆者のもとに次のような情報が寄せられた。
「解放同盟岐阜県連の大垣支部長が殺人未遂で逮捕された事件で、近く裁判がある。この支部長は前の岐阜県連委員長の息子で、事件の背景にキナ臭い噂がある」
調べてみると、確かに岐阜県瑞穂市でそのような事件があった。しかし、東海地方のローカルニュースとしてはやや大きく報じられたものの、全国的にはあまり注目されなかった。
報道によれば、事件があった年の8月24日に、トラック運転手の澤崎雅敏(既に懲役5年が確定して服役中)、その妻の澤崎美智子(後に不起訴処分)、観光会社社長の下城信彦(今回の被告)が殺人未遂で逮捕された。さらに8月30日、土木関係会社社長の石井涼也(今回の被告)が共謀に加わっていたとして逮捕された。
この石井被告こそ、解放同盟岐阜県連大垣支部長で、石井輝男前解放同盟岐阜県連委員長(故人)の息子なのである。
示現舎では、この事件の真相を解明するべく、岐阜に向かった。
裁判で明らかになった事件のあらましはこうだ。
石井被告は、山崎氏から度々金を巻き上げられ、父の遺産や会社の運転資金などから何千万円もの金を渡していた。石井被告が下城被告にそのことを相談しているうちに、やがて山崎氏を殺害しようという話になった。下城被告は自分の会社に新しく入社した澤崎受刑者が金に困っていることを知り、山崎氏殺害の実行犯とすることを考えた。そして、下城被告の仲介で石井被告が澤崎受刑者に100万円を渡し、澤崎受刑者が山崎氏を襲撃した。
石井被告の妹や母親の証言によれば、石井被告は会社社長・解放同盟支部長という肩書とは裏腹に、気弱でおとなしい人物であるという。一方、山崎氏は「一見してヤクザのような見た目」という証言があり、確かに筆者が法廷で目にした山崎氏の服装はヤクザそのものであった。
石井被告によれば、山崎氏から度々罵倒され、金を脅し取られたという。無論、山崎氏はそのことを否定し、石井被告が勝手にくれたのだと言う。そして、石井被告について「卑屈で卑怯でうそつき」と評する。率直なところ、山崎氏の証言は話半分で聞いていたのだが「卑屈で卑怯でうそつき」という点については本当であるように感じられた。石井被告は典型的な「いじめられっ子」タイプなのである。
これだけでは、金を脅し取られ続けた気弱な会社社長が切羽詰まって相手を殺すように依頼したという、よくありそうな殺人依頼事件のように思える。
しかし、裁判が進むにつれて、不可解な事実が明らかになった。下城被告は石井被告から何の見返りも受け取っていなかったし、仕事上の利害も大きくなく、プライベートでもそれほど親しい間柄ではなかったのである。それならば、なぜ下城被告は殺人依頼の仲介をするという危険な行為をすすんで行ったのか? 当然、裁判官と裁判員の関心はそのことに集中した。
そして、裁判の過程で下城被告も解放同盟大垣支部員であることが明らかになった。
「同和企業であることを前面に出した営業」「先代会長への恩義」「同和の会長」「部落解放同盟の会社」「同和対策の貸付金」という言葉が法廷に飛び交った。
さらに、下城被告が「仕事上の理由で支部に入った」「必要なのは支部の会費と(解放)新聞代を払うこと」という趣旨の説明をしたため、裁判員からは「部落解放同盟というのは部落出身者でなくても入れるのですか?」という神の如き質問が下城被告に対して行われた。
下城被告の答えは「そう認識しています」である。
この事件については、さらに続報する予定である。
1963年に同和対策審議会により、西成地区の調査が行われ、「大阪市西成区出城開地区 精密調査報告書」が作成された。
この地が調査対象として選ばれたのは、大都市の部落、急激な変容、混住が著しいという特徴があったからだという。いわゆる「都市部落」の非常に顕著な事例なわけである。
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報告書には、地図が掲載されているが、当時からすでに部落内外の境界は不明瞭であった。その中から特に「地区民」のもっとも集中している中開4,5,6丁目と出城7,6,5丁目から300世帯(ただし朝鮮人を除く)を抽出して調査したという。そんな具合なので、このような「精密調査」に、どれだけの意味があるのか疑わしいところである。
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この大きな建物は、大阪市社会福祉研究・情報センター。
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中には、この地の歴史資料が展示されている。現在の大阪シティ信用金庫の前身の1つとしてこの地に存在した「愛隣信用組合」は、「善隣」「共愛」という町内会名から付けられたという。
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「特別養護老人ホーム花嵐」は住吉区矢田にある。
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「旭区まきグループホーム」は旭区生江にある。
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「ともしび福祉会」は、飛鳥会事件の小西邦彦が設立したことで、知る人ぞ知る団体である。
また、見る人が見れば分かるが、福祉団体の場所が同和地区に偏っている。
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この建物は「大阪市立市民交流センターにしなり」であったが、既に閉鎖されていた。かつては「大阪市立西成同和地区解放会館」であった建物である。前回、中開3丁目の閉鎖された解放会館を紹介した。そう、西成には解放会館が2つあったのである。
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市立の隣保館は2つともなくなってしまったが、代わりにできたのが、この「にしなり隣保館 ゆ~とあい」。訪れた時は「こども食堂」が開いており、地元の小中学生でにぎわっていた。これは完全民営の隣保館である。民間でも需要がある限り、やればできるということだ。
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この地域に多い材木屋。
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この老人憩の家は使われていた。やはり、このご時世なので、老人向けの施設の需要は大きい。
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町内会の掲示板に地図が掲示されていた。これは「住宅地区改良法」に基づく「住宅地区改良事業」に関するものである。大阪市内でも、唯一住宅地区改良事業が進められているのが西成地区だ。対象地域は同和地区とほぼ一致するが、同和事業とはまた別のものである。
未だに事業が終わらないのは、ここは「混住地域」なので住民の思惑が必ずしも一致しないこと、高齢化のため移転を嫌がる住民が多いことがあるという。
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市営住宅がある辺りは、いかにも「同和」という雰囲気が漂うが、長橋の住宅地に入ると普通の下町のたたずまいである。そもそも西成地区はよそから来た住民が多いし、このような場所に住む人は、自分を「部落民」とは思っていないと考えられる。
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そして、住宅地の中に入っていくと、なぜここが住宅地区改良法の対象地域なのか、よく分かる光景が現れる。
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この木造の民家は、部落っぽい雰囲気がよく出ている。この景観だけ遺しておくために文化財に指定してもよいくらいだ。
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細い路地があちこちにある。
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路地に囲まれた祠。住所表記上は鶴見橋だが、一応同和地区指定された区域内である。
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そして、極めつけがここだ。人の体の幅しかない。しかし、砂や埃が溜まっておらず、きれいにされているところから分かる通り、単なる家の間の隙間ではなく、れっきとした生活道路である。
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こちらは出城温泉。見た目も料金も、大阪の下町によくある普通の風呂屋だ。
全國部落調査の出版差止の裁判が、本訴訟3件が東京地裁に併合されて係属しており、さらに横浜地裁に2件の仮処分、横浜地裁相模原支部に4件の仮処分が係属しています。
仮処分は、もともと本の出版禁止の1件が横浜地裁に、ウェブの情報削除の1件が地裁相模原支部に係属、さらに財産の差し押さえの4件が地裁相模原支部に係属していましたが、出版禁止とウェブの情報削除については示現舎側が保全異議を申し立てて、ウェブの情報削除の仮処分が横浜地裁に移送された状態になっています。
10月12日に、これらのうち出版禁止の仮処分に対する保全異議審尋が横浜地裁で行われました。双方が提出した書面は次のとおりです。ここで「債務者」が示現舎側で、「債権者」が解放同盟側です。
示現舎側の主張は東京地裁で行っているのと同様のもので、主な主張は大阪市人権協会の「50年のあゆみ」や解放同盟長野県連の「差別とのたたかい」のように同和地区名・部落名を列挙した書籍の出版は過去に何度も繰り返されていること、解放同盟大阪府連住吉支部の住田一郎氏や、部落史研究者の塩見鮮一郎氏のように、部落の場所を公表すべきという主張は運動体内部や研究者にもあるということです。
一方、解放同盟側は全國部落調査の出版は解放同盟の「業務」を妨害するものだという主張をしています。これは、横浜地裁の裁判官が、仮処分の申し立ての際から解放同盟が主張している「業務」とな何なのか説明を求めたためです。
今回の審尋では、裁判官が審理の終結を提案しましたが、解放同盟側がさらなる主張をしたいことを申し出て、もう1度審尋が行われることになりました。
次回の審尋は11月30日15時からです。
また、地裁相模原支部から横浜地裁に移送されたウェブの情報削除についての保全異議の審尋がそれに先立って11月14日14時に行われることになりました。
両事件とも、裁判官3人による合議体で審理されています。
理屈の上では示現舎側はさらに4件保全異議を申し立てることができます。
大阪の「リバティおおさか」は、橋下徹氏が府知事時代にその展示内容を疑問視し、さらに現在は府から立ち退きを求められて裁判中であり、何かと話題に事欠かなかった。
一方、東京にも全く同じような施設があるのだが、こちらは不思議と話題になることがない。それが、台東区橋場1-1-6にある「東京都人権プラザ」である。
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こちらが展示室。広さは「リバティおおさか」には及ばないが、展示の充実度は負けず劣らずである。
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展示物を見る前にトイレを借りると、このような張り紙が。これもある意味展示物と言える。
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高校生の人権メッセージ。個人情報クレーマーがうるさいご時世だが、さすがにペンネームでは説得力がないので、ちゃんと実名で掲載されている。
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「犯罪被害者の人権」と「拉致問題」の展示。公的な施設で人権に関する展示が行われる場合、この2つは外せないテーマである。しかし、このテーマが採り上げられるようになったのは比較的最近のことだ。
実は官製の人権運動として最初に取り組まれたのが、1951年から始まり今でも続いている「社会を明るくする運動」で、これは犯罪を犯して服役を終えた人の社会復帰を支援するものだった。しかし、メディアの発達で凶悪犯罪の内容が生々しく社会に知れ渡り、厳罰化が求められるようになると、むしろ犯罪被害者の支援に重きが置かれるようになった。
人権というと、どうしても犯罪容疑者の待遇や、死刑廃止運動といったことが中心になり勝ちだったので、バランスをとるためにも「犯罪被害者の人権」は外せないのである。
「拉致問題」もナーバスな問題である。人権というと、どうしても「在日」のことが中心になり勝ちだったが、ご承知の通りこの拉致問題が起こって以来、特に北朝鮮系の在日に対する国民の目は厳しくなった。そのため、「拉致問題」を外すと、抗議されてしまうのである。
この2つは、率直に言えば申し訳のための展示と言ってよい。
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そして、これがメインとも言える「同和問題」の展示である。やはりメインだけあって存在感が違う。
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これは90年代に東京都が作成した同和問題の啓発ビデオ。
人権プラザには図書資料室があって、この種のビデオが充実していたのだが、実は移転のために残念ながら今は利用できない。同和関係の本も充実していた、全国部落調査によく似た、大阪や京都や高知の資料が開架に置かれていた。
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「東京でおきている差別」というパネル展示。何とかして事例を探したかったのだろうが、逆にこの程度のものしかないのかという内容である。
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皮革産業の歴史と、道具の展示。何が言いたいかというと、東京都でも皮革産業と言えば同和絡みだったということだろう。
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そして、新しいテーマであり同和に次ぐ大きなテーマが「アイヌ」である。
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ただ、同和とは違って「アイヌの人々はこんなに差別されていますよ」という展示ではない。北海道のアイヌ関係の博物館でもよく見られる展示内容で、北海道の観光案内のようなものである。
それでもあえて「人権」とからめて、この場で展示される背景には、政治的な背景とか、予算の取りやすさといった事情があるのだろう。
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外国人の人権も大きなテーマだ。展示されているハングル文字の大きさから、どの外国人の人権がより重視されているかうかがい知ることができる。
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昨今の話題について新聞の切り抜きや、ネットでのいじめについての展示もあった。
先述のとおり、東京都人権プラザは近く移転予定であり、移転先は港区芝2-5-6 芝256スクエアビル1,2Fで、来年1月中に会館ということである。
ただし、現在の建物も「分館」として来年いっぱいは使われるとのことなので、その間は今の展示物は見られるだろう。
京都府宇治市伊勢田町51番地、通称「ウトロ」と呼ばれるこの地区は、日本有数の朝鮮部落である。
もとは、現在の日産車体の源流である日本国際航空工業の土地が不法占拠されていたものだが、後に様々な事があって土地の所有権が転々とし、現在の土地は地元住民による財団、韓国政府出資の財団、大阪市の有限会社西日本殖産の所有となっている。
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2014年の調査では、ウトロ地区には93棟の住宅が立ち並んでおり、その内実際に人が住んでいるのは59棟だという。
2012年に、既存の住宅を撤去して、住民は財団が所有する土地に建設する市営住宅に移る計画が決まった。ほとんどの住民は市営住宅への転居を希望していることから、計画がスムーズに進むものとみられる。
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地区にはこのような熱いメッセージが掲示されているが、通りがかりの住民に聞いてみると、市が決めたことやから詳しいことは分からへんといった返事であった。
地区内では既に空き家の取り壊しと、市営住宅の建設が始まっていた。いずれにしても、近い将来ウトロ地区がなくなることは確実だろう。
今回、もう見られなくなるであろう、地区内の様子をパノラマ撮影した。その雰囲気を存分にお楽しみいただきたい。
今回紹介するのは、「右翼ダイヂェスト」という本である。「窓口担当の方々の御参考に」様々な右翼の団体名、所在地、構成員、関連団体等の情報をまとめたものである。
「某当局」の調査によるとされ、いかにも怪しい代物だ。この本の注目すべき点はその内容ではなく、作者のことだ。この本の作者こそ京極公大こと坪田義嗣、つまり部落地名総鑑の作者なのである。
「第一の部落地名総鑑」とも呼ばれる「人事極秘 部落地名総鑑」の売り込みチラシは「企業防衛懇話会」という団体名で出されていた。この右翼ダイヂェストにも、企業防衛懇話会とある。
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「終わってはいない「部落地名総鑑」事件」(解放出版社)によれば、坪田氏は、部落地名総鑑を作った理由について、解放同盟に次のように語っていた。
昭和五十年だったか、四十九年だったか、右翼関係のリストとか総会屋関係のリストをつくって出版したときに、わりあいに出版というものは簡単にできるんだなということがわかり、こんどはこれをやってやろうかなと、浅はかな考えを持ったのがはじまりなんです。
この「右翼関係のリスト」というのは、右翼ダイヂェストのことと見て間違いないだろう。
この本は部落地名総鑑と同じ印刷所で作られたと見られ、表紙は青色のレザック(皮のような風合いのある厚手の紙)に黒い「極秘」の文字だけある。本文は、中扉にだけ色紙が使われている。
印刷方法は「タイプ印刷」と見られる。
当時は今のようなDTPは普及しておらず、商用印刷と言えば活版印刷であった。しかし、右翼ダイヂェストは字がややにじんでおり、普通の商用印刷物よりも明らかに品質が悪く、活版で印刷したようには見えない。
当時、少部数の出版物を印刷する方法は謄写版が一般的であった。1980年代ごろまで、ロウ紙に鉄筆で書いたものを原版とする、いわゆるガリ版も謄写版の一種である。タイプ印刷は、鉄筆ではなくて和文タイプライターを使って原版を作成したものである。それでも所詮ガリ版と同じ印刷方法なので品質はあまりよくないが、職人が活字を組むよりは安くつくメリットがある。
本の内容も時代を感じさせる。今となっては「右翼」と言えば「ネトウヨ」のようなものを連想してしまうが、当時の右翼のイメージと言えば、もっぱら総会屋やヤクザの一種である。当時の労働運動や政治運動は今よりもっと激しかったが、政治活動ということで多少過激なことをしても警察もお目こぼしをすることが多かったので、反社勢力は政治団体を名乗り、企業を恐喝する時に政治活動という体裁を取ったのである。
右翼ダイヂェストは、そのような団体から企業を防衛するため、要注意団体を識別するための資料として企業に売り込まれたものであろう。
今となっては誰も著作権を主張しないと思われるので、全内容を公開する。坪田義嗣氏の足跡を感じ取って頂きたい。