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「出生地主義にしたら?」という質問はタブーなのか?

川崎市の武蔵小杉駅近くにある「川崎平和館」で1月29日まで企画展「レイシズムにさよならを」が開催されている。15日には「語り場 レイシズムにさよならを」というイベントが開催された。

川崎と言えば、川崎区桜本近辺など、在日コリアンが多いことで有名である。ということは、当然在日コリアンがメインのテーマになるのではないかと期待して、イベントに参加してみた。

ご承知の通り、示現舎は川崎市にある。川崎市は南北に細長く、南部と北部で全く様相が異なる。川崎と言えば労働者の街というイメージがあるが、それはもっぱら南部のことで、在日コリアンが多いのも南部だ。それに対して北部は小田急線が通り、新百合ヶ丘などの、どちらかというと高級なイメージのある住宅地が広がっている。

昨年の6月に桜本で「川崎発!日本浄化デモ」というものが企画されたが、裁判所の仮処分で一部地域でのデモを差し止める決定が出されたのが記憶に新しいところである。

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さて、川崎平和館にやってきた。武蔵小杉駅からは歩いて10分くらいのところにある。

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まず目についたのが、北朝鮮の拉致問題についての特設コーナーである。「人権」にからむ施設では必ずと言っていいほど拉致問題に関する物件が存在するが、ここは力が入っている。人権というとどうしても「左翼的」な展示物が多くなりがちなので、右側から攻撃されないように、魔除けというか一種のバリアーとして配置しているのではないかと勘ぐってしまう。

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それはともかく、目的の企画展の会場に向かった。

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企画展では、人種差別に関することが書かれた様々なパネルが展示されている。

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人種差別とはまた別のカテゴリーだと思うのだが、部落差別の記述があった。全国部落調査のこともそれとなく書かれている。

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見どころは、川崎市内の中学、高校で行われたワークショップの内容である。上の写真は全て公立学校のものである。子供を川崎市内の学校に通わせている方は見ておくべきだろう。

東橘ひがしたちばな中学校の「レイシズム防止憲法」も、神奈川総合高校の「神奈総のレイシズム禁止マニュアル」も、いかにもテキトーな内容である。そもそも憲法にもマニュアルにもなっていないが、あくまで中高生の学習の一環ということだろう。

このような教育にあまり意味があるとは思えない。「国境は作らない」と憲法に書いたからと言って、どの国も従うわけがない。「根拠のない情報を含むサイトの禁止」をすれば、宗教のサイトなどことごとく禁止である。基礎的な知識、科学的・合理的な考え方を学ばないと、自分たちで主体的に考えることはできないし、また「教師にとって好ましくない意見」というのは排除されがちだ。

1980年代、90年代の「同和教育」も概ねこのようなものだった。

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早稲田大学のパネル。「山田ゼミのレイシズム防止マニュアル」の最後にある「血統主義から出生地主義への転換」は筆者も在日コリアンの問題を根本的に解決する現実的な方法はこれしかないのではないかと常々感じていることである。こうやって話題が出ているのだから、ぜひ「語り場」で語らなければなるまい。

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そして、「語り場」が始まった。前に座っているのは在日コリアンのハルモニと支援者である。客席には神奈川新聞と毎日新聞の記者、他のほとんどはいわゆる「しばき隊」「男組」の方々であった。また、神奈川新聞の記者はヘイトスピーチデモをなかなか止められなかったことについて反省の弁を述べる一方、他の参加者からは「地元の新聞記者は腹をくくってやっている」と言われる一幕があった。記者というよりは、活動家という感じだ。

「語り場」の主な話題は、やはり桜本で行われた在日コリアンに対するデモと、それに対するカウンターでもである。あの人はヘイトスピーチに怒鳴って対抗してて凄かった、カウンターデモに参加しながらへらへら笑っている人がいて真剣さが足りない、時に暴力的なこともするカウンターデモは一時しのぎでしかないしこれで差別がなくせるとは思わない、などの意見が飛び交った。

語り場の司会者の三浦知人氏によれば、行政の在日コリアン対する施策について、行政に対して文句を言うことも「ヘイトスピーチを同じ構図」だと言うのだ。1980年代くらいは、そういうことはこっそりと行われたが、最近は堂々と「朝鮮人死ね」と言うようになったことが今と当時との違いだという。

そして、最後に質問タイムがあったので、早速筆者は例のことを聞いてみた。

「もし、国籍法を改正して出生地主義にして、次の世代から在日コリアンは日本国籍にするしたら、みなさん賛成ですか? 賛成の方は手を挙げてください」

何人かが手を挙げたが、その直後に客席にいた男性に、「ちょっといいですか」ともの凄い勢いで遮られた。

朝鮮・台湾人の日本国籍は、戦後に国会で議論されずに勅令で剥奪だれたので、そのことに触れることなく議論するのは違うというのである。そして司会の三浦氏は、「この問題の議論には時間がかかるので、ここでは扱わない」として打ち切った。ハルモニたちも「そういう問題でないよね」と頷いている様子だった。

後で、筆者を遮った男性に「国籍法の問題はやっぱりタブーなんですか?」「こういった事は、どこで議論されるのですか?」と聞いてみたが「私は在日ではなく日本人なので、よく分からない」という返事。「議論しないなら、現状維持に賛成することと変わりないのでは?」と畳み掛けると、「あなたとは議論しない」と断られてしまった。

やっぱり在日と国籍法の問題はタブーなのだろうか。


朝鮮学校大阪府・市補助金裁判明日判決 予想は?

2012年、大阪府と大阪市が大阪朝鮮学園に補助金を交付しない決定をした処分は違法であるとして、大阪朝鮮学園が大阪府と大阪市を訴えた裁判の判決が、明日13時30分に、大阪地裁で言い渡される。判決に先立ち、示現舎ではその判決を予想すると共に、判決を速報する。

判決の速報はツイッターで行うので、ぜひ @jigensha をフォローして頂きたい。

この裁判の発端は、大阪府と大阪市が2011(平成23)年度の大阪朝鮮学園への補助金を交付しなかったことだ。例えば大阪府は1974年から大阪朝鮮学園に補助金を交付しており、その額は最後に交付された2009で2716万5600円にのぼった。

朝鮮学園側は補助金の交付停止は政治的な背景があると主張している。確かにそれはその通りで、2010年11月23日に北朝鮮が韓国と北朝鮮の境界付近の延坪島を砲撃し、死傷者が出た延坪島砲撃事件があった。当時は民主党政権下で、いわゆる高校無償化が推し進められ、朝鮮学校も対象になると見られていたが、この事件がきっかけで北朝鮮への非難の世論が高まり、朝鮮総連を通して北朝鮮本国との関係が深いとされる朝鮮学校への支出することへの非難も高まった。

その結果、国策である高校無償化の朝鮮学校への適用は事実上見送られた状態である。それと並行して、朝鮮学校への補助金の交付を止める自治体が相次いだ。大阪でも、当時の橋下徹知事が朝鮮学校と北朝鮮本国との関係を問題視し、朝鮮学校の職員室に掲げられた金日成・金正日の肖像画を外すことなどを要求し、それを受けて朝鮮学校は肖像画を外したが、結局大阪府・大阪市ともに補助金の交付はしないことが決まった。

ただ、法律論で言えば、大阪府・大阪市側に分が悪いところがある。

韓国系の民族学校と見られている白頭学院が運営する建国高等学校にも補助金が支給されている。ただ、建国高等学校が朝鮮学校と違うのは、学校教育法第1条による認可を受けた「一条校」である点だ。よく知られているとおり朝鮮学校は学校教育法第1条による認可を受けていない「各種学校」である。

しかし、行政が補助金を支出してきた各種学校は朝鮮学校だけではない。例えば台湾系の大阪中華学校には大阪府と大阪市から補助金が交付されており、これは朝鮮学校と同じく各種学校の扱いである。

当然、朝鮮学園はこのことを問題視し、行政は政治的な背景を理由に朝鮮学園を差別的に扱ったとの趣旨の主張を行った。一方、大阪府は朝鮮学校の生徒が北朝鮮の歌劇に参加したことについて説明を求めたが協力しなかった事などを主張した。

朝鮮学園側は、朝鮮総連、北朝鮮との関係について否定していない…というよりは、「関係ありますが何か?」といった態度だ。朝鮮学校に通う生徒の保護者からも「朝鮮学校が朝鮮総連と関係が深いのは事実」との意見が多くあり、「補助金を受けるなら本国とは距離を置くべきではないか」との意見も見られる。

もう1つの論点は、手続き上の問題である。朝鮮学校は大阪府と大阪市が朝鮮学校の補助金交付申請を本来は60日以内で処理されるべきところ、この期間を超えて放置し、その後要綱を改定して遡及的にそれを適用したこと、行政不服審査や行政訴訟の手続きについての教示がなかったことが違法であると主張した。それに対して、大阪府と大阪市はそもそも補助金の交付は「贈与契約」であって「行政処分」ではないと主張した。

これはなかなか分かりにくい問題である。これは言葉遊びのようになってしまうが、行政機関が「行政処分」を行うにあたっては、様々な決まりがあり、行政手続条例にのっとって処理し、行政不服審査や行政訴訟による事後の救済を保障しなければならないということになっている。しかし、「贈与契約」は民間人や民間企業がお金を払うかどうかということと同様の問題なので、自治体にも「契約の自由」があり、支払いの約束をするのは自由だということである。

大阪府と大阪市が、朝鮮学園への補助金の交付が「贈与契約」である根拠は、補助金の交付は法令に定められたものではなく、要綱つまり役所の内規で任意に行っていたものなので、行政処分ではなくて任意の贈与契約だということなのである。

ただ、この点についても大阪市には分が悪いところがあり、実は大阪市には1952年に定められた「学校法人援助の手続に関する条例」があった。それが、朝鮮学校へ補助金を交付しないことが決まった2012年11月になって急に橋下徹市長が市議会に廃止のための条例案を提出し、廃止されたのである。これについて大阪市は「条例は1975年頃には既に形骸化していて、要綱はあくまで条例とは別のもの」という趣旨の主張をしている。

さて、どのような判決が出されるだろうか。

筆者の予想では、一番あり得るのは「却下」である。つまり、申請には処分性がないとして裁判所が門前払いするということだ。

その理由は、裁判所は「朝鮮学校に補助金を支給すべきでない」という世論におもねる一方で、私立学校への補助金の支給の是非や朝鮮半島にからむ政治的な問題に立ち入りたくないと考えられるからだ。

ただ、純粋に法律論で言うのであれば、要綱で基準を定めて長い間行われており、しかも子供の教育に関わる補助金の支給を「贈与契約」で済ますことは本来はあってはならないことである。「行政処分」として補助金の支給の是非を裁判所が審査することは可能なはずである。

しかし、その場合、客観的に見れば補助金の交付の是非の判断に政治的背景があることは明らかで、また事実として大阪中華学校には補助金を交付しているのだから、裁判所は行政側に不利な判決を下さざるをえない可能性が高いだろう。もちろん、朝鮮学園と北朝鮮との関係を問題視して、行政の監督の下で補助金が適切に使われる保証がないから交付すべきでないと判断する可能性もないわけではない。

本来、憲法89条により私的な教育事業に公金を支出することは原則禁止されており、もし支出するのであれば良いい意味でも悪い意味でも公平に支出せざるを得ないはずなのだが、昨今は憲法89条の「慈善、教育若しくは博愛」に関する部分はほぼ空文化しているのが実情である。裁判所は「行政が管理監督していれば、私学に公金を支出してもよい」といった判断をしているが、そもそも今時行政が公金を支出する先に対して何らかの管理監督をしないということはあり得ないだろう。

背景には朝鮮学校のみならず、私立学校への公金の支出という行為全般が抱える問題があるのだが、巨大な利権があり、憲法問題というパンドラの箱を誰も開けたがらないことから、これも日本のタブーの1つであると思う。

大阪朝鮮学園補助金裁判学園側が全面敗訴

1月26日、大阪地裁で大阪府と大阪市が大阪朝鮮学園に補助金を交付しなかったことについて、大阪朝鮮学園が市と府を訴えた裁判の判決があった。

当日は朝鮮学園の教職員や生徒が多数判決の傍聴に訪れており、傍聴券は抽選となった。残念ながら筆者は外れてしまった。


裁判所の門前で朝鮮学園側の弁護士が勝訴・敗訴を報告すると言うので、多くの報道陣が待ち構えていた。そして、しばらくして掲げられたのは写真の通り「不当判決」の文字。つまり、朝鮮学園側の敗訴ということである。

「棄却」なのか「却下」なのかと聞いてみると、「棄却」ということで、朝鮮学園側の完膚無きまでの敗訴だった。詳細は各メディアが報じているとおりである。

ただ、昨今の情勢からのこの結果は予想されていたことで、敗訴が報告された瞬間、朝鮮学園側に悲痛な雰囲気はなかった。

朝鮮高校の生徒が、裁判の結果よりも、あっけらかんとして「不当判決って、判決が出てからその場で書いたのかな」「そんなわけないだろ」「そう言えば、裏に何か書いてあったね」と雑談していたのが印象的だった。自分の子供の頃に置き換えてみれば想像できるが、所詮は大人の間の争いである。

中之島の公会堂で判決の報告会が開かれるということなので、行ってみた。弁護士が到着するまでの間、今回の判決について傍聴者の感想が語られていた。その内容を聞く限り、ことごとく行政側の主張が認められ、さらに朝鮮学校と北朝鮮の関係についても踏み込んだ内容で、予想以上の大敗であったことがうかがえた。

しかし、しばらくすると「宮部さんですか?」と2人に声をかけられた。1人はコリアNGOセンターの理事を名乗り、もう1人は名乗らなかった。

「どういう目的でここに来られたんですか?」

と聞かれたので、以前から朝鮮学園の補助金の取材をしており、この問題については是々非々で見ている旨を答えたが、要は示現舎のサイトが気に入らないということらしい。

「あなたのサイトは上から目線で、マジョリティの立場から書かれていると感じる」

と言うので、「あれ、私はマジョリティだったんですか。どういう根拠でそう思われましたか?」と逆に問うと、「もしマイノリティなら、その立場を明らかにした上で情報を発信したらどうか」という返事。会話が噛み合わないのである。

どうも彼らの世界観では、人間にはマジョリティのグループとマイノリティのグループがあり、マイノリティは虐げられる立場で、マジョリティとマイノリティには思考の違いがあるようだ。

「部落だって3団体に分かれているし、在日コリアンだって建国学園や金剛学園もあるんだし、アイヌだって砂澤さんみたいな人もいるし、そういう考えこそ偏見ではないですか?」

と言い返したが聞き入れられず。2人は「自分たちは主催者とは関係ない」と言いつつも、結局、筆者は会場から追い出されることになった。

この件は、種を明かせば次の通りとのことである。

筆者は李信恵氏とは何の接点もないので一体何が悔しいのか怖いのか分からないが、何の根拠もない噂や印象で他人を排除することこそ、まさに差別であり排外主義ではなかろうか。

部落探訪(22)和歌山県田辺市中辺路町大川皆ノ川(前編)

亀井文夫監督作品、「人間みな兄弟」で「山また山の紀州の奥に12戸ばかりの部落がある」として紹介されている、和歌山の部落がある。亀井文夫監督の足跡と、この部落を特定できたと読者の方よりメールを頂いた。そこで、実際に現地に赴くことにした。

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映画に出てくるこの場面、これは現在の新宮市から見た熊野川の河原であることが分かった。

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国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスで1976年11月1日に撮影した、新宮市南檜杖付近の地図を見ると、映画の映像の下の方に見える、先が細くなった特徴的な地形が見える。

ここには国道168号線が通っているが、新しい道は低い位置を通っているので、映画は現在の越路トンネルの上を通る旧道から撮影したものと考えられる。


越路トンネルは、現在は古いトンネルと新しいトンネルが並行しているが、この場所から左に曲がると、さらに古い道がある。

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旧道は途中までしか舗装されておらず、その先はあまりにも荒れた道なので、自動車では進めない。徒歩で旧道を進むと、戦前に作られたと思われる、天井から水が漏れてくる古いトンネルがあり、そこを抜けると目的の場所だ。

ここは旧道マニアのスポットにもなっているようなので、詳しくはこちらをご覧いただくのがよいだろう。

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周囲に木が生い茂っているため、見晴らしはよくないが、山の稜線は完全に一致する。撮影場所は間違いなくここだろう。当時はもっと視界が開けていたと思われる。

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映画には、部落の子供が通った「芦尾小学校」が出て来る。しかし、1972年に二川小学校に統合されて廃校になった。

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熊野街道を目的地へと進むと、まさに山また山という感じ。川の水が驚くほど澄んでいる。

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ここが芦尾小学校のあった場所なのだが、今は木材加工場になっていて、もはや学校があった頃の面影はない。

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道路側にグラウンドがあり、山側に校舎があったのだろう。

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木材加工場の駐車場。芦尾小学校があった当時はここが道路で、橋がかかっていた。

周囲の景色をパノラマでお楽しみいただきたい。

(次回に続く)

全国部落調査事件横浜地裁相模原支部第1回保全異議審尋

昨日、2月2日に横浜地裁相模原支部で、とある仮差押決定に対する保全異議の審尋がありました。

簡単に言えば、部落解放同盟中央本部副委員長の片岡明幸が「被差別部落出身者」を自称して、私のマンションに対して200万円分の仮差押の申立てをして、それを横浜地裁相模原支部の古谷慎吾裁判官が「相当」とした件です。


そもそも片岡明幸が被差別部落出身ということが、なぜ法律上「相当」なのか、そういうことを追及しております。

詳細は、双方が提出したこちらの書面をご覧ください。

解放同盟側 不動産仮差押命令申立書-H28-4-5.pdf
仮差押決定-H28-4-8.pdf
示現舎側 保全異議申立書-H28-12-19.pdf
解放同盟側 保全異議答弁書-H29-1-31.pdf
示現舎側 準備書面-H29-2-2.pdf
示現舎側 証拠説明書-H29-2-2.pdf

示現舎側の2月2日付準備書面は当日に裁判所で直接片岡明幸側に裁判所で手渡されました。その時に弁護士がヘラヘラ笑っているのが聞こえましたが、何なのでしょうね。

担当裁判官は中井彩子さんのようです。

この件も保全異議の手続きは長引くようで、次回は3月6日に再び審尋が行われることになりました。仮処分は拙速に行わた一方で、その理由説明は東京地裁、横浜地裁、横浜地裁相模原支部のいずれも先延ばししているように見えます。

部落探訪(22)和歌山県田辺市中辺路町大川皆ノ川(後編)

芦尾小学校の跡地にある木材加工場から、熊野街道を白浜町方向へさらに1kmほど進むと、右側に山に入ってく道がある。この道がある谷が、「かいがわだに」である。

国土地理院地図では「かいのかわ」という読みだが、地元の人は「かいのがわ」と呼んでいるようだ。

映画「人間みな兄弟」では、白子の「じっちゃん」を芦尾小学校に通わせた経緯を教師が語るシーンがあるが、確かに「子供がかいがわの子供達のグループに守られたらね」と発言している。

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谷を上がってくと、木が植えられた斜面があり、その上に古い民家らしきものが見えた。これは映画が撮影された当時からあったものらしい。周囲が山に囲まれていて薄暗かったため写真がボケてしまった。

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建物に近づくと、完全な廃墟であった。

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五右衛門風呂は凍っていた。

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周囲を見渡すと、林の中にさらに家が見える。

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これは、さらに見事な廃墟であった。廃墟マニアにはたまらないかも知れない。

一応水道があり、電気も来ていたらしい。風呂場の部分は完全に屋根と壁が崩壊していた。しかし、おそらく1970年代くらいまでは実際に人が住んでいたと考えられる。

廃墟の中をパノラマでお楽しみいただきたい。

ここは廃集落で、他にもいくつか家があったようだ。今は木が生い茂っているが、昔の風景が何となく想像できる。しかし、いずれにしても自動車は入ってこられないような場所だ。

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さらに進むと、木がなくて開けている斜面がある。

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映画に出て来るこのシーン、実はこの場所から撮影したようなのである。地元の方によれば、確かにこの空き地には昔4軒の家があった。許可を得て斜面の上に登って撮影した。

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映画撮影当時よりも周囲の木々が高くなってしまっているので分かりにくいが、おそらくここで間違いないであろう。

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皆ノ川は1980年代に、ふもとの熊野街道沿いに集団移転したため、今はほぼ廃集落となっている。現住しているのは高齢者の1世帯だけだという。

しかし、谷にはところどころ植林がされており、畑や果樹園がある。現住している人はほとんどいないとは言え、未だにかつての住民の仕事場になっているようである。

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民家がいくつかあるが、これらはもはや民家としては使われておらず、ご覧の通り倉庫や機材置き場や作業場になっている。

残念ながら、映画のことを知っている人には会うことができなかった。

皆ノ川がなぜ部落と見なされるようになったのかは不明である。確かに山奥にある孤立した集落ではあるが、この辺りにはもっと辺鄙な場所がある。芦尾小学校には分校があり、それがあった兵生集落も廃集落となっている。

部落探訪(23)奈良県奈良市紀寺町梅園町

興福寺の前の三条通に「傳説三作石子詰之旧跡」という碑がある。


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昔々、春日大社の鹿を殺した者は石子詰の刑に処するという掟があった。ある時、興福寺の三作という小僧が誤って鹿を殺してしまい、三作は石子詰により刑死したとの伝承である。

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これが、その三作の墓と伝えられている。三作の話が史実かどうかは定かではないが、室町時代末期に鹿を殺した幼女が斬首されたという記録があり、その話がもとになったとも言われる。

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石子詰の伝承の解説。一部消されているのは、何か人権上問題のある表現がされていたのだろうか。

さて、刑罰の執行は、賎民の役目であった。三作の石子詰の際に検分役だった者が住んでいたと伝わるのが、今回紹介する梅園町である。

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あいにく、雪模様であったが、まず目についたのが、このスーパー。

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そして、ファミリーマート。部落には工場や老人ホームもあって、完全に都市化している。

写真を撮り漏らしてしまったが、近くには「子ども発達センター」がある。実はこの建物は2000年までは「梅園隣保館」であり、その後「梅園人権文化センター」「あすか人権文化センター」と名前を変え、2011年に子ども発達センターに転用された。つまり、その頃から事実上同和地区としての扱いをされなくなったものと考えられる。

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そこで、もうこの部落は融和ないし解放されたのではないかと思ったら、筆者にとってはどこかで見たような風景が現れた。一角だけ、このようなニコイチが並んでいる。

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屋根が平らなので、初期のタイプの改良住宅である。一部の家は庭が荒れ果てていて、明らかに空き家になっている。

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しかし、確かにここは梅園町だ。

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自動車が路上駐車されていると思ったら…

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タイヤが潰れていて、明らかに動かない車だ。つまり、不法投棄である。

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このように放置された自動車が数台あった。

奈良市の中心部にあり、いくらでも土地の買い手はあると考えられ、実際に様々な商業施設がある中で、この一角だけは明らかに異世界である。市としては土地を転用するなり民間に払い下げたいのだが、居住者がいるので、とりあえず新規入居者の募集をやめて、既存の住民の退去を待っている状態であることが想像できる。

そして、似たような光景を、奈良の各所の部落で見ることになった。

部落探訪(24)奈良県奈良市古市町北古市

今から約10年前の2006年、中川昌史解放同盟古市支部長が5年以上にわたって、病欠扱いでほとんど出勤することなく奈良市から給与を受け取っていたことが問題となった。さらに、自身が所有するポルシェが市道の段差で傷ついたため、市に補償を求めていたことから「ポルシェ中川」と呼ばれるようになった。

この事件に縁のある部落が、今回訪れた北古市である。1935年の資料では世帯数255、人口1180、生活程度下とある。


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まず目についたのは、この集会所である。「改良住宅集会所」とあることから、改良住宅の建設に伴って設置されたことが分かる。古市では「小集落地区等改良事業」が行われた。

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中川氏の妻の建設会社。現在も営業中である。隣の隣が中川氏の自宅であるが、残念ながら本人には会えなかった。家族によれば、昌史氏はもう解放同盟や市役所とは関わっていないということである。

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ニコイチ形式の改良住宅が非常に多数立ち並んでいる。屋根が平らな古いタイプと、瓦屋根が乗っている新しいタイプが混在している。

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浄土真宗本願寺派 光明寺。奈良にある寺はこのように、門が閉ざされていて自由には入れないことが多い。

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細い道もあるが、全般的にこの部落の道路は広々としている。

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同和事業が行われた部落は、ここに限らず自動車が止められるスペースが必ずと言っていいほど確保されている。道幅が狭くて消防車が入りにくい、路上駐車が多いといったことが、部落の「差別の実態」と言われたことが関係しているだろう。

また、意外なことに外に開けていることも奈良の部落の特徴だという。奈良にはかつて環濠集落だった集落が多く、また住宅の入り口が集落の内側を向いた、閉ざされた集落が多い。しかし、古市は国道188号線から入る道が何本もあり、玄関が国道に面した家もある。

案内者によれば、街道沿いの部落は商売が盛んだったことが影響しているのではないかという。

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廃墟・空き地もいくつかあるが多くはなく、あまり「避けられている」という感じもしない。

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部落内に集合住宅や建売住宅が作られ、外から住民が流入していることが分かる。

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実は、最近になって奈良市が古市町内の公有地を次々と売却している。「ポルシェ中川事件」の影響からかどうかは分からないが、新しい住民の流入には奈良市のこのような方針が影響しているだろう。

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ただ、非常に豪華な同和事業施設は残っている。部落内には公衆浴場と、立派な老人憩の家がある。

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そして、これも非常に豪華な隣保館。隣保館の中にも男女別の浴室がある。この隣保館の図書室の蔵書も凄くて、「部落解放」のバックナンバーがかなり昔のものから揃っており、部落関連の主要な文献はほぼ漏れなく置かれている。

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隣保館だけあって、やはり人権関係の掲示物やパンフレットが置かれているが、それほど多くない。むしろ、なぜか自警団募集の張り紙が目立つ。

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…と思ったら、公衆浴場の近くの掲示板で解放新聞を発見した。

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もう1つ煙突のある建物があったので、近くに行ってみると、閉鎖されていた。その作りから見ると、ここも公衆浴場だったようだ。つまり、この部落には公衆浴場が2つあった。それだけ大きな部落ということである。


全国部落調査事件東京地裁第4回口頭弁論に向けて書面を提出しました

3月13日の次回口頭弁論に向けて書面を提出しました。

準備書面-H29-2-17.pdf
証拠説明書-H29-2-17.pdf

これに対して、解放同盟側が何かしら反論の書面を提出することになります。

重要な点は、具体的に戸籍謄本と全国部落調査から、どのように「被差別部落出身者」が判別できるのかということです。一例として私の戸籍謄本を提出して質問しているのですが、横浜地裁の保全異議の手続きでは、解放同盟側は結局答えませんでした。裁判所もはぐらかすのではないかと思います。

淡路5人殺害事件平野達彦被告が読んだ本

2015年3月9日に洲本市で起こった、5人殺害事件。事件から約2年を経た今、神戸地方裁判所で平野達彦被告の裁判員裁判の真っ最中だ。

事件が起こった際、平野被告のフェイスブックやツイッターは「電磁波犯罪」「集団ストーカー」といったキーワードで満ち溢れており、明らかに精神疾患を抱えているのではと話題になった。

裁判における、平野被告の主張も全くそのままである。

2月8日の初公判では「工作員にブレインジャックされ操られた」「殺害された5人はサイコテロリスト」であるとして無罪を主張した。初日は傍聴者やテレビや新聞の記者も多数訪れていたが、平野被告のそのような主張を聞いていた記者からはため息が漏れ、「これはだめですね」と電話でデスクに報告する様子が見受けられた。

さすがに地元紙の神戸新聞は毎回公判の様子を比較的詳しく報じているが、全国紙での報道は少なく、テレビもあまり報じない状況である。

平野被告によれば、日本政府が「精神工学戦争」を隠蔽するための工作員が、警察・公安・防衛省自衛隊の情報保全隊、創価学会や霊友会、日本会議に関連した右翼団体、暴力団、同和団体、大企業、利権団体にいるということである。無論、このことから伺えるのは、平野被告が何らかの精神疾患を抱えているということだ。

具体的にそれが何なのか、後日の公判で精神鑑定を行った医師から説明されることになるが、現在までの公判の流れでは、検察や弁護士からは、平野被告が覚せい剤でありADHDの治療薬として使われている「リタリン中毒」であることが示唆されている。平野被告は2004年に初めてリタリンを医師から処方され、2007年頃まで使っていたとされる。

メディアがあまり報じていないのが、平野被告の弁護士が証拠として裁判所に提出した以下の本である。

とりあえず筆者は「ニューロ・ウォーズ」を読んでみたが、東京大学教授が監修をされているものの、中身は明らかに「トンデモ本」であった。アマゾンのレビューを見ると、「精神医療ダークサイド」は比較的評価が高いものの、他の本は酷評されるか、あるいは平野被告と同じ症状を持つと思われる者から多く評価されている。

平野被告と同じような言動を繰り返す人がSNSでよく見受けられるのは知られた話で、例えばツイッターで「電磁波攻撃」で検索してみるとよい。おそらく統合失調症患者であろうと言われているが、薬物中毒の可能性もあり、本当の実態はよく分からないところが多い。関連する団体として、NPO法人テクノロジー犯罪被害ネットワーク、集団ストーカー被害認知撲滅の会などがあり、平野被告はこれらを陰謀を告発する団体と位置づけ、ウェブサイト等で自らも告発を行ってきたという。

平野被告は過去2回の措置入院歴があり、その点は神奈川県の「津久井やまゆり園事件」と共通している。無論、2つの事件は被疑者の症状も犯行の様相も全く異なるものだが、ある意味洲本事件の裁判は津久井やまゆり園事件の裁判の“前哨戦”となるだろう。

部落解放研究第24回滋賀県集会に有田芳生来たる?

2017年2月10日に滋賀県米原市で部落解放研究集会があり、有田芳生が来る。そのような情報を耳にした。また、分科会では本誌のことがテーマになるという。無論、これは行かない手はないだろう。

ところが、会場となる滋賀県立文化産業交流会館(文産会館)のウェブサイトのイベントスケジュールには掲載されていない。筆者が調べた限りでは、ネット上には開催案内は見つからなかった。しかし、滋賀県内の役所や同企連企業等にチラシが配布されていたというので、イベントが開催されることは間違いない。

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当日はあいにくの雪模様であったが、文産会館に来ると、受付の看板が出ていた。一般参加も出来るということで、一安心である。

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会場は自治体や企業の関係者で賑わっており、物販コーナーも出ていた。滋賀の部落のイベントらしく、「さいぼし」が売られている。

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なぜか「コリアン袋」なる物が。

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見ると、京都の朝鮮学校のようで、売られていたのは朝鮮料理の惣菜だった。

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なぜか靴や靴下といったものも。

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もちろん、商売だけではなく、このようなパネルもあった。

この類のイベントは無料ではない。「資料代」ということで、いくらかの出費が発生する。今回は1人3000円であった。アイドルのコンサートよりは安いが、映画よりは高いといったところである。

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配られた資料を見て驚いた。大会の討議資料に加えて、部落解放同盟滋賀県連が毎年作成している冊子を2冊渡されたのだが表紙からしてこれである。まさに、今年は全国部落調査イヤーといった感じだ。

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「部落差別は今」という冊子は「全国のあいつぐ差別事件」の滋賀県版みたいなものである。中身は解放新聞の切り抜きがほとんどだ。ご覧の通り160ページのうち48ページまでが全国部落調査の話題である。

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「同和と在日」の写真も掲載されている。ここまでくると、もはや示現舎の宣伝に近いのでは? という感じがする。

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しかし、なんと本誌が1月31日に発売した「部落問題入門」が「新たな全国部落調査」として紹介している。無論、これは全国部落調査とはまた別のもので、タイトル通り部落問題の入門書である。

ちなみに、キンドルで電子版も発売したので、事情により電子版で楽しみたい方は、ぜひご利用いただきたい。

さて、早速会場に入って、有田芳生氏による記念講演を期待していたのだが、ここで主催者から残念なお知らせがあった。有田芳生氏は議員活動が多忙のため、来られなくなったというのである。そこで、代わって演台に立ったのが、ヘイトスピーチ問題に取り組むジャーナリストとして知られる安田浩一氏である。

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しかし、内容は主に在特会と在日コリアンの話で、部落の話は全く出なかった。

部落の話題を避けた安田氏の判断は賢明だろう。「士農工商えた非人」で糾弾されたサイゾーの事例の通り、「部落万歳」としていたつもりでも、思いがけないところで言葉尻をとらえられて糾弾されてしまいかねない。また、あまり「解放同盟万歳」をやってしまうと、解放同盟の対立勢力の共産党から抗議されてしまうこともある。

解放同盟は明らかに「反ヘイトスピーチ」との連携を目指しているが、当の反ヘイトスピーチ陣営にとっては同和との連携はおっかなびっくりといったところだろう。

洲本5人殺害事件論告求刑公判平野達彦被告が「エタ」を連発し裁判官から止められた

「昔も今もエタというのは犯罪者…」

検察から死刑を求刑された後、平野達彦被告がそのように淡々とノートに書いた文章を読み上げていると、長井秀典裁判長が「被告人! 被告人!」と読み上げを中断させた。

「被告人、さきほどから使っている言葉は差別的な表現と考えられるのでやめてもらわないと」

裁判長からそう諭された平野被告は、「どの部分?」と裁判官に質問した。

「エタという言葉はもう使わないでください」

そう裁判官から言われた平野被告はしばらく考えた後

「同和という言葉では?」

と提案した。

「では、今まで言った部分も同和という言葉に置き換えます」

その後、平野被告は裁判官の指示を忠実に守って、「エタ」を「同和」に置き換えて話を続けた。

「昔も今も同和というのは犯罪者であり、この事実が目立たないようにするために犯罪者勢力である同和勢力が私達に対して精神工学戦争を…」

――これは、3月3日に神戸地裁で行われた洲本5人殺害事件の論告求刑公判の一場面である。最初から皆が気づいていたことだが、この事件の被告、平野達彦は明らかに「悪人」というよりも「狂人」である。公判では「ブレインジャック」「集団ストーカー」「電磁波攻撃」「テクノロジー犯罪」「精神工学戦争」といった言葉を繰り返し、独特の世界観を展開してきた。

その言葉に、裁判官、裁判員、報道記者、遺族の誰もが困惑していた。

休廷する度に記者が電話でデスクと会話するのだが「これで校閲を通りますか?」と言っているのが度々聞かれた。記者が困惑するのも無理はない。5人が殺害されたという凶悪な事件にも関わらず、法廷の様子をありのままに伝えれば、もはやそれは「喜劇」になってしまうからだ。それだけ、平野達彦という男は狂っている。無論、この「狂っている」という表現も、まず新聞社の校閲を通らないだろう。しかし、それしか表現のしようがない。

法廷には度々異様な空気が流れたが、特に異様だったのが冒頭の場面である。

「エタという言葉を5連発した時、3人の裁判官が何やら話していたので、これは何か来るかと思ったら、やっぱり止められましたね」

裁判を傍聴した人はそう語る。平野被告は、論告求刑で死刑を求刑された後、裁判官から「被告人は言うべきことはありますか?」と言われ、法廷に持ち込んだノートを読み上げ始めた。内容は当然先述の「集団ストーカー」「電磁波攻撃」といった言葉の繰り返し。話があちこちに飛んで、前後の脈略がないこともあった。

平野被告は「1970年以前から活動している日本国政府工作員」の話を始め、「同和勢力」として部落解放同盟、自由同和会の名前が出た。平野被告によれば、それらの団体が標的を精神病、危険人物などとでっち上げて追い込むのだという。「5連発」というのは次のような発言に加えて、冒頭の発言である。

「昔からエタ連中は差別されていると主張してますが、事実だったとしても人体実験を兼ねた精神工学戦争を行う口実にはなりません」

「エタ勢力は精神工学戦争を行っています」

「エタと呼ばれている人でも精神工学戦争の被害に遭っている人はいます」

「エタ公は公権力を不正に使用し社会的信用を奪っている」

「エタ」というのは、もちろん穢多のことである。このまま発言させるのはまずいと裁判官は感じたのか、裁判官は「エタ」という言葉を使わないように注意した。そして、平野被告は律儀にも以降はエタを同和と言い換えた。無論、同和と言い換えたところで、狂った発言であることには何も変わりないのではあるが。

ただ、裁判所が「エタ」という発言に敏感なのは理由がある。戦前、裁判所には同和に関わる「差別的用語」には注意するように司法次官からお達しがされている。これは昭和8年のことであるが、今でも影響を及ぼしており、裁判所としては調書に「エタ」という言葉を書きたくなかったということだろう。公判は終始録音されており、後で書記官が調書に書き起こすことになるのだが、おそらく平野被告の発言は「エタ」を「同和」に書き換えて裁判記録にファイルされるのだろう。

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いずれにしても、平野被告は精神に病を抱えている。法廷の誰もがその確信を増したはずだ。このことは、皮肉にも平野被告にとっては有利になる。

裁判員裁判では量刑が従来よりも重くなる傾向があることは知られているが、その一方で2012年に大阪地裁での裁判員裁判で被告がアスペルガー症候群であることを理由として量刑を重くしたことに対して精神障害者団体等から批判があり、高裁では逆に量刑が減らされたことがあった。このような経緯があることから、裁判所は精神障害者が被告となる裁判では慎重になると考えられ、死刑が回避される可能性もある。特に「エタ」発言に配慮するような裁判官であることから、よりその可能性は高いだろう。

ただ、いずれにしても無期懲役よりも軽くなることはあり得ない。また、かつては無期懲役では20年程度で仮釈放されることが多かったが、最近では仮釈放されることがほとんどなくなり、終身刑に近い状態になっていると言われる。たとえ平野被告が無期懲役になったとしても、5人を殺害したという重大な事件である上、平野被告は全く改悛の情を見せていないことから、仮釈放はあり得ないだろう。

判決は3月22日午後4時に言い渡される。焦点は死刑が回避されるかどうかだ。

刑事裁判が決着したとしても、この事件は終わらず、遺族が兵庫県や洲本市に対して、平野被告に対して十分な対応をしなかった責任を問うために行政訴訟を起こすのではということも関係者から聞かれる。確かに遺族からは、平野被告が事件を起こす前兆があったのに事件を防げなかった「無能な兵庫県警」(遺族の意見陳述より)に対する批判があった。

現在、国会では措置入院後のフォロー体制を強化するために精神保健福祉法改正の議論が行われている。平野被告も2回措置入院がされているので、今回のケースは法律改正の議論を行う上でも重要な事例と言えるだろう。しかし、それほど重要な事件であるにも関わらず、いわゆる一般のメディアがこの事件の扱いに二の足を踏み、議論も深まらないことが残念なことである。

もはや存在だけでヘイト?山口県人権啓発センター事務局長川口泰司氏の講演から強制退去

※画像はシステムブレーンより。

川口泰司やすし氏と言っても、多くの人はご存じないだろうが、同企連(人企連)加入企業等で人権研修を受けた人にとっては聞いたことのある名前かも知れない。

講演や人権研修等での川口氏の肩書は「山口県人権啓発センター事務局長」である。何も知らないと、まるで山口県の外郭団体の職員のように誤解してしまうかもしれないが、山口県人権啓発センターは山口県の行政機関とは何の関係もない。それどころか、登記さえされていない「任意団体」である。住所は「部落解放同盟山口県連合会」と同じであり、過去に山口県連が移転した際には一緒に移転している。

つまり、「山口県人権啓発センター事務局長」という肩書は文字通り「自称」である。誰でも「○○県人権啓発センター事務局長」を名乗ることは簡単だ。地図会社やネット上の情報サイトなどはタウンページの情報を利用していることが多いので、NTTに年間500円を払ってタウンページに掲載しておけば、地図や情報サイト等にも掲載される。

また、川口氏のプロフィールによれば「愛媛県宇和島市の被差別部落に生まれる」となっており、部落解放運動に関わったのは大阪など県外に出てからである。「属地属人」という考えからからすれば、地元を出た後も「被差別部落出身」を自称続けて、他県の同和団体に納まっているのは不自然な話だが、これは同和団体にはありがちなことである。

当然、川口氏は「山口県」から給与を受けているわけでもないので、実際の財政状況は厳しい。川口氏を知る人物によれば「講演だけでは食べていけないので、妻に働いてもらってなんとか生活している」という。

少し、この「業界」の事情に触れておくと、最近は自治体が人権研修を行う場合は、講師派遣会社である「システムブレーン」に依頼することが多い。講演量は自治体からシステムブレーンに支払われ、そこから手数料が引かれて講師に渡る仕組みである。システムブレーンのウェブサイトで検索すると、人権研修向けの講師の情報が多数登録されており、人権研修が同社にとって重要なマーケットであることが伺える。

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画像はフルーク映像株式会社HPより。企業や自治体向けなのか、ビデオ作品の価格は5万円と高額である。

さて、以前レポートした部落解放研究第24回滋賀県集会では、そんな川口氏が演台に立つという情報を耳にしたので、川口氏が公演するという分科会に参加した。少し前まではこの類の講演会には必ずあった質疑応答、質問の時間が最近はなくなってきているので、筆者は聞くだけで終わりのつもりだった。しかし、後述する通り、意外な結末を迎えた。

分科会の会場の入口で名前を書くと、資料を渡された。

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会場では録音・撮影は禁止とされた。これも少し前まではなかったことだ。要は「失言」のようなものが漏れるのが嫌ということだろう。

分科会のメインテーマは、やはり「全国部落調査」である。川口氏の主張は、ネットで「部落問題」「同和地区」で検索すると「同和地区Wiki」がトップに出てくるので、対策をしようということだ。会場の画面には同和地区Wikiが大写しにされた。

しかし、その途中、突然川口氏は講演を中断し、筆者に声をかけた。

「あなた達には話を聞いてほしくないので、退席してもらっていいですか?」

その理由について、川口氏は「裁判で係争中である」というのだ。

説明すると、川口氏は全国部落調査事件で東京地裁で示現舎を訴えている原告の1人である。ただ、川口氏はその中でも特殊な立場で、「部落解放同盟関係人物一覧」に名前が掲載されているわけではないし、裁判で川口氏の「現住所」とされている解放同盟山口県連の事務所の場所は全国部落調査に掲載されてすらいない。

また、筆者は川口氏と直接面識があるわけではないし、会場に来てからは講演を聞いているだけで一言も発していないのにこれである。

「裁判はあなたの個人の事情で、この講演は裁判の場ではないし、公私混同ではないですか?」

筆者がそのように抗議すると、さらに川口氏は別の理由を持ち出した。

「あなたの存在自体でしんどい思いをする当事者の人もいるんですよ」「私はあなたを見てると気分が悪くなる」

これが川口氏の本音だろう。

主催者からも退去を求められて、会場からも「出て行け!」と叫ぶものがあり、異様な雰囲気となった。筆者は退去させられる代わりに、会場に入る際に支払った3000円を返却され、配布された資料も没収された。ただし、幸いにも後で資料のコピーを入手することができた。

奇しくも、昨今はアメリカのトランプ大統領が実質的に一部のイスラム教徒の入国を禁ずる大統領を発し、「不寛容」「排外主義」というものが問題になっているところ。解放同盟のような人権団体はそのようなことに反対しなければいけないはずだが、実際は組織内から共産党などの対立勢力を追い出し、少しでも意見の異なる人々は排除してきたのは知られる所である。

宗教の違いも考え方の違いだとすれば、考え方が違うから排除するということは、まさに、「不寛容」「排外主義」そのものではないだろうか。

「当事者」あるいは「被差別当事者」という言葉は、特に「部落出身」を自称する人々からよく聞かれることである。何をもって当事者ということになるのか不明であるが「俺はお前とは違って特別なんだ」という選民意識が見え隠れする。もちろん、他県に移り住んでまで「部落出身」と言えるのであれば、一度部落に住民票を置いておけば、北海道でも沖縄でも外国でも「部落出身」を自称して同情を求めることが出来てしまうのだが。

「ヘイトスピーチ」という言葉が流行って久しいが、反対意見を述べるのもヘイト、行政に申し立てをするのもヘイトと、どんどん範囲が拡大している。そして、「存在自体」がヘイトであり、「私はあなたを見てると気分が悪くなる」とまで言えるのであれば、行き着くところまで行き着いて、ついに180度回ってしまった感がある。

結局、川口氏は「被差別部落出身者」という自称と「山口県人権啓発センター事務局長」というもっともらしい肩書がなければ、空っぽの人物ということだろう。

全国部落調査事件第4回口頭弁論当日夜にネット放送を行います

3月13日14時に東京地裁で全国部落調査事件の口頭弁論が行われます。解放同盟側が動員をかけているため、例によって抽選です。示現舎は13時に日比谷公園かもめの広場に集合します。毎回傍聴席は殺気立ってはおらず、同盟員の親睦会のような感じなので、怖がらずにお越しくださいませ。

今回も当日の夜19時30分から https://www.youtube.com/watch?v=Sq70_PP8zNI で放送を行います。

裁判所名 東京地方裁判所 民事第13部
日時・場所 平成29年3月13日 午後1時40分 東京地方裁判所2番交付所
事件名 損害賠償等 平成28年(ワ)第12785号等
備考 <抽選>当日午後1時40分までに指定場所に来られた方を対象に抽選します。開廷時間は午後2時00分です。

全国部落調査事件第4回口頭弁論横浜地裁相模原支部第2回審尋

去る3月6日に仮処分の保全異議についての2回目の審尋が横浜地裁相模原支部で行われ、3月13日には東京地方裁判所で4回目の口頭弁論が行われました。

横浜地裁相模原支部の審尋では、解放同盟側から次の文書が提出されています。

債権者準備書面1-H29-2-28.pdf

横浜地裁相模原支部の次回の審尋は4月17日に行われる予定です。また、横浜地裁本庁での審尋は決定待ちとなっており、1月12日の時点で2ヶ月後を目処と言われていたため、そろそろ出る頃ですが、具体的な日付は未定です。仮処分による出版禁止が維持されるにしろ取り消されるにしろ、ここでどのような理由が説明されるかあるいは説明されないのかが重要な注目ポイントとなります。

東京地裁には双方から証拠が提出されました。

原告-証拠説明書-H29-2-15.pdf

証拠説明書-H29-2-17.pdf

前回、第3回の口頭弁論で解放同盟側の弁護士は、次回で部落差別解消推進法に関する主張等を行って結審したいと言っていましたが、結局わずかな証拠が提出されたのみで、解放同盟側の主張は提出されず、裁判が継続されることになりました。また、今回も解放同盟側がパネルを提示しようとしたところ、裁判官にやんわりと止められる一幕がありました。

次回口頭弁論は6月26日14:00に行われます。傍聴は再び抽選となる可能性が高いので、傍聴をご希望の方は30分ほど前におこしください。

裁判の様子の詳細報告はネット放送で行いましたので、ぜひご聴取ください。

法廷で読み上げた示現舎側の概要説明を掲載いたします。

示現舎は「部落差別解消推進法対応 部落問題入門」を発刊してネット通販のアマゾンで販売しています。我々の部落問題についての認識はこの本の通りです。ここでは概要を説明します。

部落の起源は部落ごとに様々であって、部落民という1つの集団が全国的に存在することはありません。また、部落解放運動団体には解放同盟以外にも全日本同和会、自由同和会、人権連があり、考え方は様々です。

被告は部落差別が存在しないなどという主張は一度も行っていません。部落差別は厳然と存在します。問題は差別の現状と原因についての認識です。

同和事業が行われた一部の部落を見ると、見た目から異常さが分かります。目につくのは空き地と廃墟とニコイチです。空き地と廃墟が多いのは、その地域が避けられている、当の住民さえも出ていって戻ってこないということです。もちろん、そうでない部落もたくさんあります。

なぜ、特に同和事業が行われた地域に限ってそのようなことが起こるのか。昭和61年に政府の地域改善対策協議会が現代における部落差別の4つの要因を示しました。すなわち、

(1) 行政の主体性の欠如
(2) 同和関係者の自立、向上の精神のかん養の視点の軽視
(3) 民間運動団体の行き過ぎた言動に由来する同和問題はこわい問題であり、避けた方が良いとの意識の発生
(4) 同和問題について自由な意見交換ができる環境がないこと

です。とても鋭い指摘です。先の部落差別解消推進法の制定にあたっても「部落差別のない社会の実現に向けては、部落差別を解消する必要性に対する国民の理解を深めるよう努めることはもとより、過去の民間運動団体の行き過ぎた言動等、部落差別の解消を阻害していた要因を踏まえ、これに対する対策を講ずることも併せて、総合的に施策を実施すること」と決議されています。ここでは民間運動団体とぼやかされていますが、歴史的な経緯を調べればそれが部落解放同盟のことだと分かります。

次に、原告藤川正樹は陳述書に「個人の欠点を批判することは自由ですが、それを部落全体のこととするのは差別です」と書いていますが、解放同盟は組織や事業のあり方対する批判を部落全体への差別だとすり替えて逃げる一方で、一部の部落の問題をあたかも全国の部落全体の問題のように言ってきました。また、自治体の一職員や一市民の問題をあたかも自治体問題の問題であるかのように拡大してトップを引きずり出すようなことをしてきました。「個人の問題を全体のこととするのは差別」その言葉はそっくりそのまま原告藤川正樹に返します。

原告は「全国のあいつぐ差別事件」を部落差別の事例を示す証拠として示していますが、これから分かるのは、原告らが部落差別と判断する基準がいかに理不尽なものかということです。例えば被告らに対しては部落の地名を隠せという趣旨の要求をする一方で、東京都立皮革技術センターが木下川(きねがわ)という部落の地名を隠したことに対して差別だと抗議しています。

原告らは被告宮部のツイッターで「全国部落調査の発禁が解除されたら、今度は本格的にバンバン売って金儲けしますよ」と言ったことを非難していますが、SNSでの売り言葉に買い言葉のやりとりをあげつらうのは程度が低いことです。

金儲けが問題というなら、原告中本順一は「人権をビジネスチャンスに! 今、人権新世紀が始まります」という売り文句で2万円で売られている30分のビデオを推薦していますし、原告川口泰司が出演する「差別っていったい何やねん」という30分の講演ビデオは約40年前の部落地名総鑑と同じ値段の5万円です。一方、復刻・全国部落調査は1000円で、今やネットでも無料で見られます。金儲けだというなら、どちらが良心的かは明らかです。

全國部落調査が公開後、同和問題に係る人権侵犯は増えるどころか減っています。法務省人権擁護局の調査では、昨年の人権侵犯の件数は過去最低です。

原告らはなぜ自分たちが被差別部落出身者なのか、それでは被告らは被差別部落出身者ではないのか、何も説明できずに逃げ続けています。そもそも、歴史的に全ての賤民が世襲制だったわけではありません。明治の解放令が出されてからは、全ての世襲が途絶えています。戦後の同和事業も地域を対象としたもので、被差別部落出身者という概念はないですし、事実上もほとんどの地域では属地かつ属人で行われていました。原告らが考える被差別部落出身者という要件は、ごく最近になって原告解放同盟が捏造したものです。

特に原告片岡明幸は兵庫県の出身だと言いながら埼玉県に住んで部落出身を自称し解放同盟の幹部に納まっていますが、そのようなことが通用するなら、適当な部落に一度住民票を移しておけば、日本国中どこでも、海外でも被差別部落出身を自称できます。そのことに誰かが疑問を呈しても、「差別だ」「反論に値しない」でいくらでも逃げられます。ちなみに、原告川口泰司も同じようなことをやっています。自称被差別部落出身だから歴史的な事実を思いのままにできるというのは卑怯で卑劣な考えです。

また、証拠にある通り、原告組坂繁之は部落問題入門を「えせ同和行為」と中傷する文書を福岡県下の市町村の配布し、解放同盟滋賀県連は部落問題入門が全国部落調査であると虚偽の文書を配布しています。原告川口泰司は被告らが裁判で主張してもいないことを勝手に捏造して言いふらしています。原告らの狙いは、人格権に名を借りて、政治的に都合の悪い情報、言論を封殺することです。このような反民主主義的な行為に裁判所が加担してはなりません。

以上です。


部落探訪(25)奈良県生駒郡安堵町東安堵北方

前回に引き続いて地元の部落に詳しい方に案内して頂き、奈良の部落を探訪した。今回やってきたのは安堵町あんどちょうの部落である。

案内人によれば安堵町と言えば奈良県の中でも「ガラが悪い」と言われる地域の代表格であり、安堵と言えば街全体が部落だと思っている人もいるということである。なぜそのように言われてしまうのか。

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やはり、目についてしまうのが廃墟と空き地である。案内人によれば奈良の田舎ではこのような風景は部落でなくても普通に見られるというが…

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しかし、このような豪邸とニコイチが一緒にあるというのは、同和地区特有のものと言わざるを得ないという。今回の探訪では、なるべく公平性を期するために、部落でない地域とも注意深く見比べた。

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例えば上の2つの写真は奈良市紀寺町の風景。細い路地が入り組んでいて、自動車を停められるような場所はほとんどない。しかし、ここは部落ではない。奈良ではこのような集落は普通に見られる。むしろ同和事業の対象となった部落の方が道が広々としており、必ず自動車を停められる場所がある。

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こちらは、ふれあい人権センター。中に入ると、ミナミの帝王のような雰囲気の職員が黒いソファーにふんぞり返っていた。

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人権センターの近くには、軽ワンボックスカーが停められており、タイヤが潰れて周囲が苔むしていた。ストリートビューで確認すると、2013年10月の時点で存在するので、その頃からずっと置かれているということになる。

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ニコイチの改良住宅にセルシオが停まっていた。

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壁が黒ずんだ、団地形式の公営住宅。

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そして、広大な空き地。案内人によれば、このような境界のはっきりしない空き地は部落でなければあまり見られないのではないかということだ。

部落を後にして、しばらく自動車で走っていると、案内人が「あっ」と気づいたように声をあげた。

「あそこに廃墟があったのになくなっている…」

実は案内人はしばらく奈良を離れており、最近になって戻ったばかりだった。よく見ると、昔はあちこちにあった廃墟や空き地がなくなっているという。つまり、部落だけが取り残されているというのだ。

今は農村も都市化している。もしボロボロの家や空き地があれば、工務店や銀行が一緒になって持ち主に「融資するのでリフォームしませんか」「アパートを建てませんか」と持ちかけてくる。繰り返しそう言われればその気になって、外観がくすんだ家の壁は塗り直され、廃墟は撤去され、空き地にはアパートが建つ。

「自分が工務店や銀行の営業だったら部落には行きたくないかも」

案内人はそう語る。確かに、筆者もその気持は分かる。「もうボロボロですし、綺麗にしませんか?」そんな事を言おうものなら、来週の解放新聞に「○○工務店従業員が差別発言 『部落の家は汚い』と」のような見出しの記事が載りかねないと思ってしまう。

しかし、こんな話がある。靴を売っているビジネスマンが未開の地を訪れたところ、その土地の住人は靴を履く習慣がなかった。そこでビジネスマンはここでは靴は売れないと思い、その地を離れた。ところが、その地を訪れた別のビジネスマンは住人が靴を履いていないのを見て、本社に次のように連絡した。

「すぐ靴を5万足送れ。ここでは靴の需要が無尽蔵」

部落で廃墟や空き地を目にしたビジネスマンは、ぜひこのように考えるべきだろう。

横浜地裁が組坂繁之委員長らを「同和地区出身者」と認定

解放同盟の申し立てで全国部落調査発禁の仮処分が出された件、示現舎側が保全異議を申し立てたところ、去る16日付で決定が出されました。結論から言えば、横浜地裁は出版禁止命令を維持しました。ここまでは予想されたことですが、注目すべきはその理由です。

正確には「部落解放同盟員」の申し立てによる出版禁止命令を維持し、「部落解放同盟」の申し立ては却下しました。そのポイントは、組坂繁之委員長らが「同和地区出身者」であるということです。

以下が、その決定の全文です。それぞれ出版禁止と、ウェブサイトの削除命令ですが、重要なのは前者の方なので、1つ目だけを見ればよいでしょう。

28モ4041-決定-H29-3-16.pdf
28モ4061-決定-H29-3-16.pdf

この問題には2つの論点があり、1つは全国部落調査の発売は部落解放同盟への「業務妨害」であること、もう1つは被差別部落出身者に対する「人格権侵害」であるということです。このうち、裁判所は業務妨害を認めずに解放同盟の申し立てを却下し、人格権侵害を認めて組坂繁之委員長ら5人の申し立てを認容したということです。

なぜ人格権侵害かというロジックの前提として、2ページ目で「個人債権者らは、いずれも同和地区出身者であり」という事実を裁判所が認めています。この「同和地区出身者」という用語は当事者はどちらも使っておらず、解放同盟側が「被差別部落出身者」と言っていたのが、裁判所によってなぜか別の用語に置き換えられています。つまり、被差別部落出身者と同和地区出身者というのは同義ということなのでしょう。

9ページ以降から裁判所の判断の理由が書かれていますが、裁判所の決定というよりは、解放同盟の「糾弾要綱」のような感じです。

裁判所が同和地区出身者といった身分を認めることの是非については「個人債権者らが同和地区出身者であるとの主張は、同和地区といわれる一定の地区の出身者であることを意味するものにすぎず、法律上その他の何らかの身分が存在することを意味するものではない」としており、裁判所は同和地区出身者という基準は一種の属地主義のような判断をしているようです。無論、戸籍や住民票に「出身地」に相当することは書かれていないですが、裁判所の判断を文字通りに受け止めるならば、一度同和地区に住民票を移せば、他に移った後も「同和地区出身者」として通用することになるのでしょう。

また、何をもって「同和地区」なのか釈然としませんが、全国部落調査を同和地区の目録と認定しているので、要は全国部落調査に書かれた地域が同和地区ということなのでしょう。例えば、原告の宮瀧順子は同和地区指定をしなかった東京都の出身ですが、それでも同和地区出身者になるということは、いわゆる未指定地区の出身でもよいということになります。無論、賎民とは無関係な単なるスラムであった場所や、ごく一部の住民が差別されていた地域でも、全国部落調査にあれば同和地区ということになるようです。ただ、審尋の過程で組坂繁之委員長らの具体的な出身地がどこかという書証は提出されていないので、あくまで「自称」でよいということになります。

全国部落調査が公開されたあと、同和問題に係る人権侵犯は増えるどころか減っているという法務省のデータは無視されました。現在のデータよりも、昔から踏襲されてきた通説が重要ということなのでしょう。

法律上は、2週間以内に東京高裁に保全抗告ができるということになります。次の舞台は東京高裁です。

部落探訪(26)神奈川県川崎市麻生区早野

部落を探訪すると、何らかの痕跡が見つかるものだが、実は今回は全く見つけられなかった。そのため、読者に情報があればお寄せ頂きたい。

今回訪れたのは川崎市の早野である。全国部落調査によれば部落名は「下分」、世帯数は19とある。

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丘陵地に住宅が建っており、見た目はごく普通で周囲と違和感はない。

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曹洞宗のお寺があるが、これが部落の寺というわけではなさそうだ。立派なお寺で、近辺には広大な墓地があり、地元の檀家だけで成り立っている寺ではないことが伺える。

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しかし、なぜか馬頭観音像があった。古くからのものではなく、明らかに新しく作られたものだ。

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石材店や花屋が集中している。しかし、これは大きな墓地があるためで、しかもその墓地も昭和になってから山野を切り拓いて作られたものだ。いわゆる「部落産業」のようには見えない。

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丘のふもとは畑が広がっており、その中に何軒が住宅がある。住人の何人かに聞いてみたが、「下分」という地名は聞いたことがないという。「下麻生」という地名はあるが、それは隣村のことだし、「下谷戸」という地名もあるが田畑があるだけで、昔から人は住んでいないという。

戦前の村の様子を知っているという老人から話を聞くこともできたが、「下分」という地名はおろか、「被差別部落」があったとも聞いたことがないという。ただ、貧乏人ばかりの村ではあったということだ。

「早野には60戸くらい家があって、だいたい家は山の辺りにあった。誰が住んでいたか、屋号も覚えているよ」

そう老人は語る。

「下麻生の臼井うすい義胤よしたねさんが村のために学校を作って、それが今の柿生中学校」

臼井義胤とは地元の篤志家で大地主であったという。老人は臼井義胤を大変尊敬しており、一生懸命勉学に励んだという。老人は歴代天皇の名前を暗唱してみせた。

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ここは市街化調整区域で、川崎市が災害時のための用地を確保するために空けているのではないかということだった。そのため、家のある場所は昔から大きく変わってはいないと思うのだが、部落の痕跡は見つけることはできなかった。

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「殿様の墓」との看板が掲げられた場所にある墓石。ここに何か手がかりがあるかも?

部落探訪(27)奈良県生駒郡三郷町立野南、立野北

奈良県最大の部落は生駒郡三郷町さんごうちょうにある。ここは奈良県都大阪府の境界にあり、最寄り駅のJR関西本線三郷駅から大阪の天王寺駅まで40~50分であり、大阪への通勤圏内だ。

立地もどちらかと言えば良好で。周囲の住宅は山の急斜面にある一方、部落は低地にあるのだから、立地は部落のほうがむしろいい。

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しかし、隣保館からしていきなりこれである。これでも、れっきとした三郷町の行政施設だ。

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これほどあからさまに「同和地区」であると主張する施設があるにも関わらず、空き地や廃墟は少なく。あまり避けられているような雰囲気はない。

これは、大阪のベッドダウンとして良好な立地であることが影響しているだろう。また、案内人によれば、ここは明らかに商人の部落であり、あからさまに同和地区と主張するような隣保館があるのは、あけっぴろげな商人気質が影響しているのではないかということだ。

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しかし、不思議な物件もある。部落内には壁が薄汚れた公営住宅がある。公営住宅には物置だけの棟が付属している、窓から箱が山積みされているのが見える。

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駐車場にはセルシオ、アルファード等が停まっている。高級車が停まっているのは、この住宅の家賃が非常に安く、車に金をかけられるということを示唆している。

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ここにも、部落ということをあからさまに主張するような立て看板がある。

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ポルシェが一台あったが、これは公営住宅ではなく持ち家である。

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部落内には最近壁が塗り直されたと思われる、きれいな公営住宅がある。その駐車場を見ると、置かれているのは軽自動車だ。さきほどの住宅のような高級車は見られない。

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部落内には古くからの持ち家と思われる家が多く、そのたたずまいは確かに商人の町の趣がある。

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一方で、「改良住宅店舗」もある。要は公営の貸店舗である。社会主義国の商店のような無機質な外観は好みの別れるところである。

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これは部落の公衆浴場「もみじ湯」。12歳以上は220円、12歳未満は80円と非常に安い。部落の浴場をめぐるマニアもいるようである。

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部落はまさに「ベッドタウン」といったたたずまいなのだが、コンドームの自販機があるのは、田舎っぽいところである。

全国人権同和行政促進協議会が亀井文夫監督作品 「人間みな兄弟」のレビュー記事に削除要請をしていた

全国の様々な自治体が、現在でも事実上インターネット上などで公開された状態にある「全国部落調査」に対して、解放同盟からの要請により削除を試みていることは解放新聞等が報じているところである。示現舎では、そのような自治体が法務省に提出した要請文を入手した。

要請を出したのは、東京都、府中市、日野市、国立市、鳥取県、香川県、福岡県、大阪府、大阪府市長会、大阪府町村長会、そして全国人権同和行政促進協議会(全人同協)である。内容を見ると、提出者は自治体の首長だったり、総務部長だったり、教育委員会だったり様々で、内容も多様である。しかし、いずれにしても意外に少なく、特定の自治体に偏っている。

法務省要請文書.pdf

こちらがその要請文書である。

特に目立つのは東京都と、多摩地域の自治体だ。これは解放同盟東京都連によるものと思われ、同和地区指定をしなかった東京都の自治体にも解放同盟が厳然と影響力を持っていることがうかがえる。

香川、福岡、大阪は「いかにも」という感じである。

特に執拗に要請書を出しているのは、鳥取県と全人同協だ。鳥取県については、グーグルの部落マップの件で、以前から確執があるので、不思議なことではない。

全人同協は、同和行政を行う県や政令指定都市で組織された全日本同和対策協議会が前身となっている。国の同和事業が終わった後も存続しているが、京都市のように脱退する自治体もあった。同和行政の手の内がおおっぴらになってしまうのは彼らにとって死活問題なので、全国部落調査を執拗に削除要請するのはある意味理解できるが、不可解なのは以下の削除依頼だ。

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これは、本誌による亀井文夫監督のドキュメンタリー映画「人間みな兄弟 部落差別の記録」のレビュー記事に対するものである。その理由は、「和歌山県をはじめ近畿府県の特定の地名や街並みを撮影した映像を同和地区として掲示することは、掲示した地域の出身者、住民等に対して不当な差別的取扱いを助長し、又は誘発するものと認められるため」だという。

全人同協の事務局は各自治体が持ち回りでやっているのだが、奇しくも現時点では和歌山県企画部人権政策課が事務局となっている。早速「全人同協の事務局」に問い合わせてみた。

削除要請をするということは、「人間みな兄弟」自体が部落差別を誘発する作品と認識しているのか問うと、「部落差別を扱った社会作品とは認識している」ということで、作品自体を問題としているわけではないという。

ただ「学術目的であっても、被差別部落の映像や地名の扱いについては配慮を要する」というので、具体的にどのような配慮をすればよいのか、問うと「個別具体的なことは答えられない」というのみである。一般論として、インターネットであれば興味本位で見る人がいるのではないかということである。それでは、「インターネットでなければよいのか」というと「そのような問題ではない」という。

この作品を販売している日本ドキュメントフィルムには同じ措置を取ったのかというと、それはしておらず、この件について削除要請をしたのは示現舎だけだという。「ウェブサイトで作品を紹介するのはだめで、ウェブサイトで作品を売るのはよいのか?」というと、この質問に対してもはっきりとした答えはなかった。

とどのつまり、全人同協を構成する自治体の職員が物事を深く考えているとは到底思えず、地元の解放同盟等や関係議員から要請されたのを、右から左へ流したといったところではないだろうか。とにかく、亀井文夫監督作品「人間みな兄弟 部落差別の記録」も、今となっては誰かにとって都合の悪い作品なのだろう。

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