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Channel: 宮部 龍彦 - 示現舎
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部落探訪(31)神奈川県横須賀市馬堀町

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横須賀市の最大の部落は馬堀町まぼりちょうにある。馬堀と言えば「馬堀海岸」が有名で、駅名も馬堀海岸である。

しかし、馬堀海岸と呼ばれる地域は、もとは遠浅の海だった場所を戦後に埋め立てて出来た。部落は現在の馬堀海岸から内陸側に細長く存在していて、1934年当時の世帯数は55、人口は330であった。

自動車で馬堀海岸に行く道は分かりやすい。横浜横須賀道路のどん詰まりで降りればいい。

海岸沿いにヤシの木が植えられていてトロピカルな雰囲気。しかし、ここは埋立地であって、もとは海だった。

この辺りはちょっとした高級住宅地になっている。不動産サイトで調べると売家が1戸4000万円から、1億円近いものまである。

この道路(県道209号線)がかつての海岸線だった。この道路を境に海側が馬堀海岸、内陸側が馬堀町である。内陸側の馬堀町がかつての部落だ。

県道209号線に並行する道路が内陸側にあるが、この道路は一方通行で西から東へしか進めない。しかも、7時から9時までの間は自動車は進入禁止である。馬堀海岸駅の前にあるので、通行人で非常に混み合うからだ。

ご覧の通り、普通に住宅があり、駅前なので商店も多く、部落の面影はない。

掲示物も至って普通だ。

かつては「高尾」という字名があったという。

東側へ進むと廃墟と空き地があり、車が入れない細い道が入り組んだ一角がある。

細い道や袋小路が多いが、ここが部落かどうかはよく分からない。

というのも、神奈川県地域人権運動連合会県連(神権連)の機関紙、『人権のとも』2008年2月15日号によれば、「馬堀の地区は海岸線に沿って細長く存在していた」「この地区も混住が進み、現在数軒となっている」との記述があるからだ。

住民に「白山神社はありますか?」と聞くと、「知らない」と言われた。ただ、「庚申塔こうしんとうならいくつかある」という。

これがその庚申塔の1つ。横須賀では珍しくない急斜面の上にある。

「自動車通行禁止」と書かれた踏切があった。そもそも、とても自動車が入れるようには見えない。

踏み切りを渡ると、寂れた集落が現れた。ここも一応馬堀町だが、部落なのかどうかは分からない。そもそも、「数軒」という規模ではなく、数十件がある。寂れているのは、単に自動車が入れないなど不便な場所だからという気がする。実は、横須賀にはこのような場所が多く、空き家問題が深刻になりつつあるという。

ここにも庚申塔があった。

『人権のとも』には、「地区の人達は自力で家を建て墓地も整備したんだよ。墓地へ行くのには京浜急行の踏切を渡らなければならない」とある。気を取り直して、その墓地を探すことにした。

地図によれば、この「トモトモ」という美容院の横に踏切があるようだが…

階段を登ると、確かに踏切があった。

踏切を渡って坂道を登ると、確かに墓地があった。まさに墓地のためにだけある踏切である。墓はどれも立派なもので、日蓮宗の檀徒が多いことが伺える。

この部落では、あちこちに消火器があるのが目についた。道が細く、消防車が入りづらい場所が多いためだろう。

部落を一巡りしたら夕方になったので、このラーメン屋でサンマーメンを食べた。神奈川といえば横浜の家系ラーメンが有名だが、サンマーメンも名物である。とろみがあり甘い味付けのスープが特徴的だ。


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